自社の「課題」を包み隠さず伝える勇気
カジュアル面談では、ついつい自社の良い点ばかり伝えたくなってしまうもの。
もちろん、魅力付けは大切ですが、良い点だけを伝えるのは正直、不十分です。
なぜなら、もし良い点だけを伝えて入社してもらえたとしても、
実態と乖離していた場合、短期離職に繋がってしまうからです。
これは企業にとっても候補者にとっても、誰も幸せにならない結果ですよね。
「組織の確かさ」に繋がる課題共有
私が常に意識しているのは、現在抱えている課題をフラットに説明することです。
そして、「その課題に共感し、解決したいと思ってくれる人」や「そこにやりがいを感じてくれる人」を採用することが、結果的に「組織の確かさ」に繋がると考えています。
具体的にどのような課題を共有すれば良いのでしょうか?以下のような例が考えられます。
- 「DXが急務だが、社内に知見が足りていない」
- 「ビジネスサイドと開発サイドの意思疎通が、まだ十分ではないと感じている」
- 「ジュニア層のエンジニアが多く、経験豊富なミドル・シニア層のリードが不足している」
- 「新規で〇〇言語を使ったプロジェクトを立ち上げたいが、まだ社内にその知見がない」
ミドル・シニア層のITエンジニアの中には、「新しい課題を解決したい」「組織をより良くするために貢献したい」という高いモチベーションを持っている方もたくさんいます。こうした方々にとっては、単に現状維持のポジションよりも、課題解決のやりがいを提供できる方が魅力的に映ることもあります。
自社の課題を明確に伝え、それに興味を持ってもらえるかどうかをチェックすることは、非常に重要なステップなんです。
求職者は、口コミサイトや紹介会社から会社の情報を聞いてからカジュアル面談にくるパターンが多いです。
そのため、自社の課題や問題をある程度把握しているパターンが多いため、こちらからそれらに対しての問題意識をもっていて、こんな風に改善・解決しようとしているというスタンスを取った方が信用してもらえる可能性が高まります。

エンジニアが最も知りたい「技術スタック」を徹底解説
カジュアル面談でITエンジニアが最も知りたい情報の一つ、それが「現在自社で使われている技術スタック」です。
ここを曖昧にしてしまうと、「この会社、どんな技術を使ってるんだろう?」と不安にさせてしまい、興味を失ってしまう可能性があります。
伝えるべき技術スタックの項目例
具体的にどのような情報を伝えれば良いのでしょうか。以下に例を挙げます。
◎プログラマ向け
- プログラミング言語: (例:Python 3.9, Ruby 3.1, TypeScript 5.2など、バージョン番号まで伝えるとさらに良いです!)
- フレームワーク、ライブラリ: (例:Django 4.2, Ruby on Rails 7.0, Next.js 14など)
- バージョン管理システム: (例:Git, GitHub/GitLab/Bitbucketなど)
- プロジェクト管理ツール: (例:Jira, Trello, Asana, Backlogなど)
- テストツール: (例:Jest, RSpec, Seleniumなど)
- エディタ: (例:VS Code, IntelliJ IDEAなど)
- その他開発ツール: (例:Docker, Kubernetes, CI/CDツールなど)
◎ITエンジニア共通
- PC環境: (例:MacBook Pro支給、Windows PC選択可など)
- サーバー環境、クラウド環境: (例:AWS (EC2, S3, RDS), GCP (GKE, Cloud Functions), Azureなど)
- 利用しているSaaS: (例:Slack, Miro, Figmaなど)
- プロジェクト運営方法: (例:スクラム開発、ウォーターフォール開発など)
- コミュニケーションツール: (例:Slack, Zoom, Google Meetなど)
人事だけで抱え込まない!エンジニアとの連携が必須
「これ、全部人事の私たちが答えられない…」
そう思われた方もいるかもしれません。安心してください、その通りです。
このあたりの専門知識については、人事が全て回答するのは非常に難しいです。
だからこそ、必ず社内のITエンジニアにヒアリングをして、最新かつ正確な情報を集めましょう。可能であれば、カジュアル面談に現場のエンジニアが同席してくれるのがベストです。彼らの言葉で語られる技術スタックは、候補者にとっても説得力があります。
定期的な「技術スタック」のアップデートを!
技術は常に進化しています。もし、古い情報や使っていない技術スタックを説明してしまったら、候補者から「この会社、技術への投資が足りてないのかな」「古い組織に見えるな」と思われてしまう可能性があります。
半年に一度を目安に、技術スタックの説明項目をアップデートすることを強くおすすめします。
私たちの会社でも半年に1回は最新の情報にするために調査をしています。事前に準備しておくことで、候補者からの信頼を得て、好印象を与えることができますよ。

語るべきは「将来の展望」!ビジョンへの共感を生み出す
カジュアル面談で非常に重要なのが、「将来の展望」を語ることです。

これらを事前に明確に言語化し、カジュアル面談で自信を持って話しましょう。
全員で「未来」を語れる組織へ
面談(や面接)に関わる全員が、それぞれの解釈を含めながらも、これらの将来像を語ることができると、候補者には「この会社は一枚岩だ」「ビジョンが浸透している」という良い印象を与えることができます。
私が見てきた中では、受託開発組織など、日々の業務に追われがちなビジネスモデルの企業は、事業の方向性も顧客依存になりがちで、将来像を語るのが苦手な傾向にあるように感じます。
でも、企業の方向性を決められるのは、社長や役員だけではありません。
この企業としての方向性を、日常的に社内に浸透させることが、とても大切なんです。
候補者は、単に今の仕事内容だけでなく、「この会社で働くことで、どんな未来を創っていけるのか」に強い関心を持っています。
明確なビジョンを語ることで、候補者の共感を呼び、入社への意欲を高めることができるでしょう。

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