「会社の雰囲気」を感じてもらうための工夫
カジュアル面談は、候補者に会社の雰囲気を感じてもらう貴重な機会です。
特にフルリモートの会社が増えたコロナ禍において、オフラインでの接触はより重要性を増しています。
来社してもらうメリットと注意点
もし可能であれば、候補者に実際に会社に来てもらい、職場環境を見てもらうのは非常に有効です。
企業側としても、ビデオ通話では伝わらない候補者の雰囲気(立ち振る舞いや表情など)がわかるため、ミスマッチを防ぐためにも、交通費を支給してでもオフラインで接触するのは良い選択肢です。
私が企業訪問時にいつも意識して観察しているポイントをいくつかご紹介しますね。
◎会社としての「気配り」が感じられるか
- お手洗いはきれいに清掃されているか? (会社の清潔感や従業員への配慮が表れます)
- 受付のタブレット端末はきれいか? (第一印象を左右します)
- すれ違った従業員は挨拶をしてくれるか? (社内の雰囲気や人間関係が見えます)
◎「執務室」から感じ取れる情報
- 支給されているPCはどんな機種か? (技術への投資レベルが見えます)
- 本棚に置かれている書籍のラインナップや新しさはどうか? (学習意欲や知識レベルが伺えます)
- 従業員は元気そうに働いているか? (活気や士気が伝わります)
- 夜の訪問の場合、残業の様子はどうか? (ワークライフバランスを重視する候補者には特に重要です)
- 汚い段ボールが積まれていないか? (整理整頓が行き届いているか)
- 無防備にログインされたままのPCが放置されていないか? (セキュリティ意識の高さが見えます)
- 「変な張り紙」がないか? (社訓や社是など、時代錯誤なものや、求職者が「ブラック企業っぽいかも」と感じるような張り紙は、非常に印象が悪いです。「変な張り紙」は、すぐに撤去することをおすすめします! )
いずれかの項目に「ん?」と思うようなポイントがあれば、会社の雰囲気に何かしら問題がある可能性も示唆されます。候補者は非常に細かいところまで見ていますから、日頃から会社の環境を整えておくことが大切です。
オンライン面談でも「雰囲気」を伝える工夫
もちろん、遠隔地の候補者や、物理的な制約がある場合はオンライン面談がメインになりますよね。
オンラインでも会社の雰囲気を伝えるために、こんな工夫をしてみましょう。

カジュアル面談後の「次の一手」で差をつける
カジュアル面談は、あくまで「選考の入り口」。面談を終えたら、そこで終わりではありません。
候補者の入社意欲をさらに高め、次のステップに進んでもらうための「次の一手」が重要になります。
感謝と次のステップの明確化
面談終了時には、まず候補者に時間を割いてくれたことへの感謝の気持ちを伝えましょう。そして、その場で「もし興味をお持ちいただけたら、〇〇といった選考ステップに進んでいただけます」といったように、次のステップを明確に伝えることが大切です。
「また改めて連絡します」だけでは、候補者は「結局どうなるんだろう?」と不安になってしまいます。
スピーディーなフォローアップ
面談後、できるだけ早くフォローアップの連絡を入れましょう。
例えば、面談の当日、遅くとも翌日には、お礼のメールと共に、今回の面談で話した内容を踏まえて「もしご興味あれば、ぜひ次の選考に進んでみませんか?」と打診するメッセージを送るのが理想的です。
その際には、面談で話した候補者の興味や関心事を踏まえ、「〇〇さんのご希望されている△△の点について、弊社の◎◎はきっとお役に立てると思います」といった具体的なメッセージを添えることで、よりパーソナルな印象を与えることができます。
また、面談中に答えきれなかった質問や、補足したい情報があれば、このフォローアップメールで提供するのも良いでしょう。
「選考に進まない」場合でも丁寧な対応を
もし、カジュアル面談の結果、企業側として選考に進むことを希望しない場合でも、丁寧な対応を心がけましょう。
将来的に別のポジションでマッチする可能性もありますし、何よりも候補者が「この会社は対応が丁寧だった」と感じてくれれば、悪い評判が立つこともありません。
ITエンジニアは業界内での繋がりが強いことも多いため、ネガティブな印象を与えてしまうと、間接的に採用に悪影響が出る可能性もあります。最後まで誠実な対応を心がけましょう。
カジュアル面談を成功させるための「人事担当者のマインドセット」
ここまで具体的なノウハウをお伝えしてきましたが、最後に、人事担当者としてカジュアル面談に臨む上で、ぜひ意識してほしい「マインドセット」についてお話しします。
「採用する側」ではなく「パートナーを探す」視点
カジュアル面談では、あなたが「採用する側」、候補者が「採用される側」という上下関係ではありません。
むしろ、
「お互いの未来を一緒に作れるパートナーを探す」という視点を持つことが大切です。
候補者の話に真摯に耳を傾け、彼らのキャリアや人生に対する想いを理解しようと努めること。
そして、自社が彼らにとってどんな価値を提供できるのか、どんな未来を共に描けるのかを、対等な立場で語り合うこと。
このマインドセットがあれば、候補者は安心して本音で話してくれるでしょうし、結果的に良いご縁に繋がるはずです。
常に「候補者ファースト」で考える
「候補者ファースト」という言葉を、カジュアル面談でも意識しましょう。
- 候補者は何を求めているのか?
- 候補者はどんな情報が欲しいのか?
- 候補者はどんな不安を抱えているのか?
常に候補者の視点に立ち、彼らが知りたいことを的確に、分かりやすく伝える努力を惜しまないでください。彼らが面談を通して「この会社と話せてよかった」「次に進んでみたい」と感じてくれることが、何よりも重要です。
「会社の代表」としての自覚を持つ
カジュアル面談の場では、あなたが会社の「顔」であり、会社の「代表」です。あなたの言動一つ一つが、会社の印象を左右します。
- 挨拶や身だしなみ
- 話し方や態度
- 質問への応答
これら全てが、候補者にとっては会社の評価に繋がります。常にプロフェッショナルとしての自覚を持ち、誠実な姿勢で臨むことが、カジュアル面談成功の鍵となります。
カジュアル面談の成功が「採用ブランディング」に繋がる
カジュアル面談は、単なる一対一のコミュニケーションの場ではありません。その一つ一つの面談が、あなたの会社の「採用ブランディング」に繋がっているという意識を持つことが大切です。
口コミの影響力
ITエンジニアの世界は、横の繋がりが非常に強いです。良い面談体験をした候補者は、友人や知人に「あの会社のカジュアル面談、すごく良かったよ!」と良い口コミを広げてくれるかもしれません。逆に、悪い印象を与えてしまうと、あっという間にネガティブな情報が広まってしまう可能性もあります。
カジュアル面談での丁寧な対応や、質の高い情報提供は、企業の評判を高め、結果的に優秀なエンジニアが集まりやすい環境を構築することに繋がります。
「また話したい」と思わせる魅力
カジュアル面談の究極の目標は、候補者に「もっとこの会社のこと知りたいな」「またこの人と話したいな」と思ってもらうことです。
そのためには、
- 一方的に話すのではなく、対話を重視する
- 候補者の言葉に真摯に耳を傾ける
- 会社の魅力を熱意を持って語る
- そして何よりも、あなたがカジュアル面談を「楽しむ」こと!
あなたが面談を楽しんでいれば、その雰囲気は必ず候補者にも伝わります。
まとめ
エンジニア採用におけるカジュアル面談は、
- ITエンジニアが売り手市場である現代において必須の採用戦略
- 企業と候補者のミスマッチを防ぐ重要なステップ
- 自社の魅力を最大限に伝え、入社意欲を高める場
です。

今回の記事では、人事担当者の皆さんがカジュアル面談を成功させるための具体的なポイントをたくさんお伝えしました。
- いきなり面接ではなく、カジュアル面談を入口にする理由
- 最初に聞くべき「候補者の意向」と「伝え方」のコツ
- 魅力的な会社説明のポイントと落とし穴
- 自社の「課題」を包み隠さず伝える勇気
- エンジニアが最も知りたい「技術スタック」の伝え方
- 「将来の展望」を語り、ビジョンへの共感を生み出す方法
- 「会社の雰囲気」を感じてもらうための工夫
- 面談後の「次の一手」で差をつける方法
- カジュアル面談を成功させるための人事担当者のマインドセット
- カジュアル面談の成功が「採用ブランディング」に繋がるという視点
これらのポイントを意識して、ぜひ皆さんのカジュアル面談をより有意義なものにしてくださいね。
ITエンジニア採用は、簡単ではありません。でも、一つ一つのカジュアル面談を丁寧に、そして心を込めて行うことで、きっと素晴らしいご縁に繋がるはずです。
皆さんの採用活動が、実り多いものになるよう応援しています!何か困ったことがあれば、いつでも相談してくださいね。
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