人事パーソンに求められるコンプライアンス〜社員の機微な情報を扱う人事部員はきわめて高い倫理観が求められる〜

人事

皆さん、こんにちは!

ビジネスの世界で「コンプライアンスの遵守」が叫ばれるようになって久しいですね。

コンプライアンスとは、単に法令を守ることだけではありません。

その職業に求められる倫理、道徳、そして社会的なルール全般を守ることを指します。

これは人事部員だけでなく、企業全体や全役職員に求められるものです。

守るべき事項は、全社会人や全企業に共通する内容もあれば、業界や職種によって異なる内容もあります。それぞれの立場によって何を意識すべきか、常に確認しておく必要があります。

特にこれから人事部門に配属・入社する人にとってとても大切で覚えておかなければいけない情報です!


なぜ人事部門がコンプライアンスにおいて重要なのか?

人事部門は、採用から退職まで、従業員のキャリア全体にわたって関わります。

給与計算、労働時間の管理、ハラスメント対策、福利厚生など、多岐にわたる業務が法律や社内規定に深く関わっているため、万が一コンプライアンス違反があれば、企業全体の信用失墜、従業員のモチベーション低下、最悪の場合は法的措置に発展する可能性もあります。

例えば、人事担当者が”許可なくAさんの給与はこのくらいだよ!”と必要ない場で伝えたり、”Bさんこの前ハラスメントで部下から内部告発されてたよ。”といった情報をうっかりでも言わないようにしないといけません。

人事部門がコンプライアンスを徹底することで、従業員が安心して働ける環境を整備し、企業としての健全な発展を支えることができるのです。


高い倫理観が求められる人事パーソン

一般的に、財務、経理、総務、法務、そして人事といった管理部門は、社内に対して幅広く統制を効かせる立場にあるため、特に高い倫理観が求められます。

なかでも人事パーソンは、従業員の報酬や評価、そしてプライバシーなど、機微な情報を扱う立場にあります。

そのため、きわめて高い倫理観が不可欠です。

特に、SNSの利用が普及している現代においては、SNSへの投稿による情報漏洩には十分に配慮する必要があります。

何気ない投稿が、思わぬ形で企業の信用を損ねる可能性も秘めているのです。


人事担当者に求められる具体的なコンプライアンス

では、具体的にどのようなコンプライアンスが人事担当者に求められるのでしょうか。主なものをいくつかご紹介します。

労働関係法令の遵守

これは最も基本的なコンプライアンスです。労働基準法、労働契約法、最低賃金法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法など、労働者に関わるあらゆる法令を理解し、遵守する必要があります。

  • 採用時: 採用における差別禁止、労働条件の明示など。
  • 労働時間・休日: 法定労働時間の遵守、残業時間の適切な管理、休日付与など。
  • 賃金: 最低賃金の遵守、給与計算の正確性、残業代の支払いなど。
  • 解雇・退職: 解雇予告、退職時の手続きなど。

個人情報保護

従業員の個人情報は、非常にデリケートな情報です。個人情報保護法に基づき、以下の点を徹底する必要があります。

  • 取得・利用目的の明確化: 従業員の個人情報を何のために取得し、どのように利用するのかを明確にする。
  • 安全管理措置: 個人情報の漏洩、滅失、毀損を防ぐための適切なセキュリティ対策。
  • 第三者提供の制限: 本人の同意なく個人情報を第三者に提供しない。
  • 情報開示・訂正・削除の対応: 従業員からの開示、訂正、削除の要求に適切に対応する。

ハラスメント対策

ハラスメントは、従業員の心身の健康を損なうだけでなく、企業の生産性低下やイメージ悪化にも繋がります。人事部門は、ハラスメントの防止と早期解決のために以下の対策が求められます。

  • 防止措置: ハラスメントに関する方針の明確化、従業員への周知・啓発、研修の実施。
  • 相談窓口の設置: 従業員が安心して相談できる窓口の設置と、プライバシー保護の徹底。
  • 事実関係の調査と適切な対応: ハラスメントが発覚した場合の迅速かつ公正な調査、被害者・加害者への適切な措置。

公正な評価・処遇

従業員の評価や処遇は、モチベーションに直結します。公平性、透明性を確保し、差別的な取り扱いをしないことが重要です。

  • 評価基準の明確化: 誰もが納得できる評価基準の設定と、その基準に基づいた公正な評価。
  • 昇進・昇給・異動: 公平な基準に基づいた処遇決定。
  • 福利厚生: 全従業員に対する公平な機会提供。

企業倫理・行動規範の遵守

企業の経営理念や行動規範は、従業員が行動する上での指針となります。人事部門は、これらの規範を従業員に浸透させ、遵守を促す役割を担います。

  • 研修・教育: 定期的な研修を通じて、企業倫理や行動規範の理解を深める。
  • 違反時の対応: 倫理違反があった場合の適切な是正措置や処分。

採用活動遂行時に注意すべき事項

近年、採用活動における求職者へのハラスメントが問題となるケースが増えています。一般的に、求職者は企業側よりも弱い立場になりやすいため、求職者が安心して就職活動に取り組むことができるよう、採用に関わる社員は節度ある対応に留意することはもちろん重要です。

また、採用担当者は入社後のトラブル防止のためとして、採用時に過度な情報収集を行ってしまいがちになることにも注意したいものです。個人情報保護の意識の高まり就職差別防止の観点から、情報収集範囲には一定の制約があります。

採用活動の中心的役割を担う人事部員は、こうした制約を自らしっかりと把握しておくとともに、社内の採用活動応援者にも適切に伝える責務があります。


コンプライアンス違反を防ぐために

これらのコンプライアンスを徹底するためには、以下の点も重要になります。

  • 最新情報のキャッチアップ: 法改正や社会情勢の変化に常にアンテナを張り、知識をアップデートする。
  • 社内体制の整備: コンプライアンス委員会や相談窓口の設置、内部通報制度の整備など。
  • 従業員への啓発: 従業員一人ひとりがコンプライアンス意識を持つよう、定期的な情報提供や研修を行う。
  • 社内規定の整備と運用: 法律に基づいた社内規定を整備し、実態に即して運用する。

まとめ

人事部門は、企業の「人」に関するあらゆる業務を担う、いわば企業の心臓部です。ここでコンプライアンスが徹底されることで、従業員は安心して働くことができ、企業は社会からの信頼を得ることができます。

複雑な世の中だからこそ、人事担当者一人ひとりが高いコンプライアンス意識を持ち、常に学び、行動していくことが、持続可能な企業成長に繋がるのです。

言った言ってない問題が発生しないよう就業規則への明示やメールやチャットツールで証跡を残すなどして安心して仕事がデキる環境を整えていきませんか?

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