【現役IT人事が教える】ITパスポートの次に取るべき資格は?国家資格の正しい順番とステップ

ITパスポートを取得された皆さん、本当におめでとうございます!

ITの基礎知識」をしっかり身につけたことは、あなたの大きな強みです。

「ITパスポートの次は、何を取ればいいんだろう?」

「どんな資格が評価されるんだろう?」と悩んでいる方はいませんか?

この記事では、現役IT人事が、IT業界で求められるスキルと、評価に繋がる資格取得の順番を、ロードマップ形式で解説します。

はじめに:ITパスポート取得、おめでとうございます!

ITパスポート(iパス)は、ITを利活用するすべての人にとって必須の「共通言語」を習得した証明です。

就職活動や社内での異動・配置の際にも、あなたの学習意欲と基礎知識があることを示す、素晴らしい武器になります。

しかし、ITパスポートはあくまで「スタートライン」です。

現場で活躍するIT人材、特にエンジニアや企画職を目指すなら、さらに専門性の高い知識やスキルを証明することが求められます。

「資格取得はキャリアプランを明確にする努力の証」です。

次はさらに価値の高い資格を目指し、あなたの市場価値をグッと高めていきましょう!


【現役人事が断言】ITパスポートの次に目指すべきは「基本情報技術者試験(FE)」

ITパスポートを取得した方が、次に目指すべき国家資格は、結論から言うと「基本情報技術者試験(FE)」です。

これはIT業界における資格取得の「王道ルート」であり、IT人材としてキャリアアップするための登竜門として広く認識されています。

ITパスポートがITを利用する人全員の「常識」であるのに対し、基本情報は「ITを活用するエンジニア・プログラマの基礎力」を証明する資格なのです。

IT人事の目線から見ても、ITパスポート取得後に基本情報技術者試験に合格している人材は、「継続的な努力ができる人材」「ITエンジニアとしての基礎を固めている人材」としてある程度プラスの評価になります。

以下の図のように、国家資格としてのステップアップは明確に順番が決まっています。

<IT系国家資格のステップアップ図>

引用:IPA

基本情報技術者試験(FE)の概要をチェック

位置づけ

ITエンジニアの「登竜門」となる国家資格。

ITSSレベル2相当。

IT業界で働くにあたって習得すべき、IT分野の基礎知識とスキルが問われます。

IPAの定義では、「ITを活用したサービス、製品、システムおよびソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」が対象者です。

試験内容

科目A(広範囲な知識)と科目B(論理的思考力、プログラミング的思考力)の2部構成。

テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系に加え、アルゴリズムやセキュリティの応用問題が出題される。

「科目A試験」と「科目B試験」の2つの試験はそれぞれ1,000点満点で、そのうち2つの試験ともに600点以上を獲得すれば合格です。 6割取れば合格で科目Aと科目Bどちらかでも6割を切ってしまうと不合格になる点に注意してください。科目A試験は90分で多肢選択式(四肢択一)の60問、科目B試験は100分で多肢択一の20問です。

※上記2025年10月時点の情報ですが、最新の情報は公式を確認してください。

必要勉強時間

ITの知識がない初心者:約200時間

ITに基礎知識がある人:約50時間

難易度

ITパスポートと比較して格段に上がる。特に科目Bは対策が必須。

合格率

概ね40〜50%前後で推移。

受験料

7,500円(税込)

試験方式

CBT(Computer Based Testing)方式(通年実施)。好きな日時・会場を選んで受験可能。

自身の都合に合わせて受験できますが、会場ごとに人数制限があるため早めの申し込みが必要な場合があります。

なぜ基本情報技術者試験が次のステップなのか?(人事目線での評価ポイント)

なぜ、ITパスポートの次に基本情報技術者試験が強く推奨されるのでしょうか。IT人事が評価するポイントは以下の3点です。

  1. 「努力の継続力」と「基礎スキル」の証明になる
    基本情報は、ITパスポートよりも難易度が高く、幅広い分野を深く学習する必要があります。これに合格することは、「目標を設定し、一定程度の学習を継続できる能力」の証明になります。この粘り強さは、長期プロジェクトが多いITエンジニアに最も求められる資質の一つです。
  2. 上位資格への明確な足がかりとなる
    基本情報は、その先の「応用情報技術者試験」や「高度試験」への土台となります。基本情報を取得していることで、「この人は明確なキャリアプランを持っているな」と判断でき、将来の成長への期待値が高まります。
  3. 採用・配置時の判断材料となる
    特に新卒や未経験者の採用・配置時、基本情報は技術的な基礎知識があることの裏付けになります。資格手当の対象になる企業も多く、評価面で有利に働くことが多いです。

基本情報技術者試験のその先のステップは?

基本情報技術者試験に合格したら、次は「応用情報技術者試験(AP)」を目指すのが王道のステップアップです。

応用情報技術者試験は、ITSSレベル3に位置づけられ、ITエンジニアとして一人前と認められるレベルです。

企業からしても一定数の自頭があることの証明になりますし、基本情報技術者試験は簡単に取れたけど、応用情報技術者試験は中々合格できないという方もいるくらいの試験レベルであるため応用情報取得者の評価はかなり高くなります。

ステップ2:応用情報技術者試験(AP)の概要

位置づけ

高度IT人材となるために必要な、より実践的な知識・技能を習得した証明。

ITSSレベル3相当。

応用情報技術者試験に合格することで、技術・管理・経営まで幅広い知識と応用力が身に付くため、システム開発や構築等の業務に役立つ。

試験内容

午前(知識問題)と午後(記述式の実践問題)の2部構成。幅広い知識に加え、論理的な思考力や文章力、問題解決能力が問われる。

必要勉強時間

ITの知識がない初心者:約500時間

基本情報技術者試験合格者:約2000時間

難易度

基本情報と比べて格段に難しくなる。出題範囲が広く、深い理解が求められる。

合格率

概ね20%前後。

受験料

7,500円(税込)

試験方式

PBT(Paper Based Testing)方式で実施される。PBT方式とは、筆記(紙面上)で行われる試験であり、PC上で行われる基本情報技術者試験と実施方法が異なります。

春期と秋期の年2回実施。

でんちゃん
でんちゃん

申し込みの締切が想像以上に早いため申込日がいつなのかは早めに確認しましょう!

2025年10月12日試験の申込締切日は2025年7月30日でした。

APは「中堅社員として期待できるレベル」を証明する

応用情報技術者試験に合格できると、IT人事は「中堅社員としてプロジェクトに貢献できるレベル」と評価します。大手だとこのレベル感ですが、中小企業だと応用情報技術者試験に合格しているとかなり良い評価となります。

知識だけでなく、複雑な問題を解決する能力が問われるため、この資格を持っている人は、昇進・昇格時の評価や、より重要なプロジェクトへのアサイン(配置)に直結することが多いです。

また応用情報技術者試験に合格してから2年間は、上位試験の「午前I試験の免除申請」が可能になる等です。詳細については、IPAの各試験の公式サイトを確認してみましょう

応用情報技術者試験のさらにその先(高度IT人材:ITSSレベル4へ)

応用情報技術者試験をクリアしたら、次はITSS(ITスキル標準)レベル4に位置づけられる「高度試験」群、またはそれに匹敵する資格を目指しましょう。

ITSSレベル4は、「高度な専門知識・スキルを保有し、プロフェッショナルとしてリーダーシップを発揮できるレベル」です。

引用:IPA

この段階からは、「とにかく上を目指す」のではなく、「自身の業務内容や目指すキャリアに応じて、専門分野を決める」ことが非常に重要になります。

【職種別】応用情報技術者試験後の主な資格(ITSSレベル4)

応用情報技術者試験を通過した後の高度試験は、大きく「スペシャリスト系」と「マネジメント・上流工程系」に分かれます。

スペシャリスト系を目指す場合の主な資格とキャリア

  • ネットワークスペシャリスト
  • データベーススペシャリスト
  • 情報処理安全確保支援士
  • エンベデッドシステムスペシャリスト

目指すキャリア・職種

  • インフラエンジニア
  • データベース管理者
  • セキュリティ専門家
  • 組み込み系エンジニア

など技術の専門性を深めたい方

マネジメント・上流工程系を目指す場合の主な資格とキャリア

  • ITストラテジスト
  • プロジェクトマネージャ
  • システムアーキテクト
  • ITサービスマネージャ

目指すキャリア・職種

  • コンサルタント
  • プロジェクトマネージャー(PM)
  • IT企画・戦略立案、システム全体の設計者

など上流工程や組織運営に関わりたい方

国家資格以外の選択肢も評価される?

もちろん、国家資格だけが全てではありません。ITSSレベル4を目指す時期になったら、ベンダー資格や国際的な専門資格も視野に入れましょう。

特に、クラウドサービス(AWS、Azure、GCP)や特定の技術(Cisco、Oracleなど)に特化したベンダー資格は、現場の即戦力として評価に直結します。

クラウド系

具体的な資格例
  • AWS認定各種(SAAなど)
  • Microsoft Azure認定(AZ-104など)
評価ポイント

クラウドインフラの実務能力証明。今最も需要が高い分野の一つ。

ネットワーク系

具体的な資格例
  • CCNA
  • LPIC(Linux技術者認定試験)
評価ポイント

インフラ構築・運用に必要な実践的な技術力証明。

マネジメント系

具体的な資格例
  • PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
評価ポイント

プロジェクトマネジメントの国際標準資格。大規模プロジェクトでのPMを目指すなら必須。

人事からのアドバイス

「資格の種類より、それがあなたのキャリアプランにどう繋がるか」が人事評価では最も重要です。やみくもに資格を取るのではなく、「私は将来、この技術で会社に貢献します」というストーリーを語れる資格取得こそが、あなたの市場価値を最大限に高めます。

まとめ:現役IT人事が考えるあなたの未来へのロードマップ

ITパスポートを取得したあなたが次に取るべき資格について、その正しい順番と重要性、そしてその先のステップを解説しました。

最後に、ここまでの要点をまとめます。

  1. ITパスポートの次は、迷わず基本情報技術者試験(FE)を目指しましょう。
  2. 基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしての基礎力と継続的な学習意欲を証明します。
  3. 基本情報の次は応用情報技術者試験(AP)で、中堅社員として期待される問題解決能力を証明しましょう。
  4. 応用情報のさらにその先は、自身のキャリアプランに合わせ、ITSSレベル4の高度試験ベンダー資格から専門分野を選びましょう。

資格は、あなたの努力の結晶であり、将来への投資です。焦らず、着実にステップアップすることで、あなたの市場価値は確実に高まり、よりやりがいのある仕事やポジションが待っているはずです。

あなたのITキャリアの成功を、心から応援しています!

この記事を書いた人
でんちゃん

一児の父。人事として6年、採用・教育・労務・人事制度などを経験してきました。これまで200名ほどの方と面接を実施してきたので就職・転職に関するノウハウがあります。またExcelを用いたデータ分析が得意です。
娘が生まれ日々のすさまじい成長を目の当たりにしています。
人事やExcel、子育てに関してのお役立ち情報を伝えるブログを作っていきます!

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