「まずはカジュアルにお話ししませんか?」
IT業界の転職活動をしていると、スカウトメールやエージェントから必ずと言っていいほど投げかけられる言葉です。
しかし、実際に受けてみると「これのどこがカジュアルなんだ?」「結局、面接と同じじゃないか」とイライラしたり、疲弊したりしている方も多いのではないでしょうか。
検索窓に「うざい」と打ち込んでしまったあなたは、決してわがままでも、やる気がないわけでもありません。
本記事では、カジュアル面談がなぜこれほどまでにストレスを生むのかを解説し、求職者側が主導権を握るための具体的な対策をIT企業の現役人事が、実務での経験をもとに解説します。
カジュアル面談を「うざい」と感じる5つの正体

なぜ「カジュアル」という響きとは裏腹に、私たちは消耗してしまうのでしょうか。主な原因は以下の5つに集約されます。
1. 「隠れ面接」になっている
表向きは「選考には関係ありません」と言いながら、実際には裏でしっかりと評価するケースが多いです。準備なしで臨んだら「志望動機が薄い」と判断され、実質的にお祈りされる。この「建前と本音の乖離」が最大のストレス源です。
隠れ面接をしている企業はカジュアル面談者の年齢が高いことや他社がカジュアル面談をしているのを聞いて戦略を練らずに面談を実施してしまっている企業に多い傾向があります。

人事にとって面談も重要な『業務』の一つです。
本音を言えば、その人がどのような人物で、今後どう歩んでいきたいのかを正確に把握し、社内の記録(証跡)として残す責任があります。
そのため、どうしても形式的な『面接のような質問スタイル』になってしまう側面があるのも事実です。
2. 相手(企業側)の準備不足
せっかく時間を割いたのに、面談担当者がこちらのプロフィールを読んでいなかったり、会社紹介のスライドを延々と読み上げるだけだったりする場合です。「それ、HPに書いてありますよね?」と言いたくなる時間は、まさに「うざい」の極みです。
3. 数が多すぎてキャパオーバー
ITエンジニアなどの売り手市場では、少しプロフィールを充実させるだけで数十通のスカウトが届きます。そのすべてに30分〜1時間を費やしていたら、現職の業務やプライベートが圧迫されるのは当然です。
4. 目的が不明確なまま進む
「何を聞けばいいのか」「何をゴールにするのか」が曖昧なまま始まると、お互いに探り合いになり、気まずい沈黙や表面的な会話で終わってしまいます。
5. 「お祈り」のダメージが地味にくる
「カジュアル」と言われたからリラックスして話したのに、後日「今回はご縁がありませんでした」と通知が来ると、面接で落ちるよりも精神的なダメージや納得感のなさが残ります。
【比較表】カジュアル面談と通常の面接の違い
混乱を避けるために、一般的なカジュアル面談と面接の違いを整理しておきましょう。
| 項目 | カジュアル面談 | 一次面接(選考) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 相互理解、魅力付け、ミスマッチ防止 | スキル一致・カルチャーフィットの判定 |
| 評価の有無 | 基本なし(建前上)だが、実際は記録される | 明確に評価される |
| 準備の重さ | 経歴の要約、逆質問3つ程度 | 深い企業研究、志望動機、自己PR |
| 服装・雰囲気 | 基本私服、リラックスした対話 | スーツまたはビジネス・カジュアル |
| 話の主導権 | 候補者側(知りたいことを聞く) | 企業側と候補者側の双方だが、企業側が主導権を握り質問することが多い。 |
この表からわかる通り、カジュアル面談において本来主導権を握るべきは求職者の「あなた」です。ここが逆転して「面接」にさせられてしまうから、うざいと感じるのです。
「うざい」カジュアル面談を攻略する3つの対策法
ただ不満を感じるだけでなく、こちらから仕組みを変えていきましょう。
対策1:面談前に「こちらが聞きたいこと」を送りつける
「当日は以下の点について詳しく伺いたいと考えています」と事前にメールしておきましょう。
これにより、相手の準備不足を防ぎ、無駄な会社説明の時間をカットできます。

事前に企業に対してポジティブな印象を抱いているポイントを率直に伝えることは、非常に効果的です。聞きたいことが明確であればあるほど、企業側も質の高い情報を用意できるため、ミスマッチの防止にもつながります。
また面と向かって求職者側から質問しにくい年収や働き方についてメールやチャットで記載しておけば回答してくれるため事前に質問するのも良いです。
対策2:自分なりの「足切りライン」を決める
すべての誘いに乗る必要はありません。
これらに該当する場合は、カジュアル面談の手前でお断りするか、チャットでの質問回答のみで済ませる勇気を持ちましょう。
3. 「面談」ではなく「ヒアリング」と定義し直す
「選考されている」と思うから疲れるのです。「こちらが会社を品定めしてやる」というスタンスで臨みましょう。
相手の対応が「うざい」と感じるなら、それは入社後も似たようなストレスを感じる可能性が高いという貴重な判断材料になります。
角を立てない「カジュアル面談」の断り方・調整術
「興味はあるけれど、今は忙しくて面談するほどではない」という場合の返信テンプレを持っておくと楽になります。
株式会社〇〇 〇〇様
〇〇と申します。
この度はスカウトありがとうございます。
貴社の〇〇という事業には非常に興味がございます。
ただ、現在は現職が繁忙期のため、まとまった面談の時間を取ることが難しい状況です。
もしよろしければ、まずは資料(Deck)を送付いただくか、こちらの3点(〇〇など)について回答をいただけますでしょうか?
このように「条件付きの代替案」を出すことで、無差別なスカウトをフィルタリングしつつ、優良企業との繋がりを維持できます。
おわりに:カジュアル面談は「使い倒す」もの
カジュアル面談が「うざい」と感じるのは、あなたが自分のキャリアを真剣に考え、時間を大切にしている証拠です。
企業側のペースに巻き込まれるのではなく、「自分の知りたい情報を引き出すためのリサーチ活動」と割り切って、こちらが主導権を握ってしまいましょう。
準備を最小限にし、合わないと思えば即座に切り上げる。
その図太さこそが、IT業界に関わらず転職活動を成功させる秘訣です。
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