エクセルで関数を使っていると、
『引数』っていう言葉をよく聞くけど、
これって一体何なの?
あなたは今、そんな疑問を抱えていませんか?
関数は便利だけど、この「引数」のところがよく分からなくて、なんとなく入力している…という方も多いのではないでしょうか。
でも、安心してください!
この記事を読めば、エクセルの「引数」が何なのか、どんな役割があるのかが、バッチリ理解できます。
そして、この記事を読み終える頃には、「引数」について誰かに説明できるくらい、自信を持って関数を使いこなせるようになりますよ!

さあ、一緒に「引数」の謎を解き明かしていきましょう!
そもそも「関数」ってどんなもの?
引数の話に入る前に、まずは「関数」そのものについて、改めて確認しておきましょう。
エクセルにおける関数とは、
特定の目的のために用意された計算式や処理の手順をまとめたもの
です。
たとえば、「SUM関数」は指定した範囲の合計を計算してくれますし、「AVERAGE関数」は平均を、そして「IF関数」は条件によって異なる処理をしてくれます。
イメージとしては、自動販売機のようなものです。
飲み物を買いたいとき、私たちは「お金」を入れて「ボタン」を押しますよね?そうすると、自動販売機は自動的に飲み物を出してくれます。
このとき、「お金」や「ボタンを押す」という行為が、関数に「何かを渡す」行為にあたります。
そして、自動販売機が「飲み物を出す」のが、関数が「結果を返す」ことになります。
エクセル関数も同じで、関数に「何か」を渡すことで、関数は私たちの代わりに計算や処理を行って、結果を返してくれるのです。
「引数」って、ずばり何?
さて、いよいよ本題の「引数」です。
ひと言でいうと、
関数が処理を行うために必要な情報
のことです。
もう少し詳しく言うと、
関数に「こういうことをしてほしいんだけど、そのために、この情報を使ってね!」と教えてあげるデータや設定のこと
なんです。
例えば、SUM関数で合計を求めるときを考えてみましょう。
=SUM(A1:A5)
この式を見ると、SUMの後のカッコの中に「A1:A5」と書かれていますよね?
これが、SUM関数にとっての「引数」です。
「A1からA5までの範囲の数値を合計してね」と、SUM関数に指示を出しているわけです。
もし引数がなければ、SUM関数は「一体何を合計すればいいの?」と困ってしまいますよね。
「引数」は関数の「材料」や「指示書」!
引数を理解するための別の例を挙げましょう。料理に例えてみます。
あなたが「カレー」を作る(=関数を実行する)とします。
カレーを作るには、肉、野菜、カレールーなどの「材料」が必要ですよね。また、「中辛にしてね」「具は大きめに切ってね」といった「指示」もあるかもしれません。
この「材料」や「指示」にあたるものが、まさに「引数」なんです。
関数は、引数という材料や指示を受け取ることで、はじめて目的の処理を行うことができるのです。
引数は「どこに」書くの?
引数は、基本的に関数の名前の直後の「( )カッコ」の中に記述します。
複数の引数がある場合は、「,(カンマ)」で区切って記述します。
書式は次のようになります。
=関数名(引数1, 引数2, 引数3, ...)
簡単な例を見てみましょう。
=SUM(数値1, 数値2, ...)
このSUM関数では、数値1
、数値2
などが引数にあたります。
=IF(論理式, 真の場合, 偽の場合)
IF関数では、論理式
、真の場合
、偽の場合
がそれぞれ引数です。これらをカンマで区切って記述します。
ここに画像を挿入!

引数にはどんな「種類」があるの?
引数には、いくつかの種類があります。主なものを確認しておきましょう。
必須の引数と省略可能な引数
関数によっては、
必ず指定しなければならない「必須の引数」
と、
省略しても関数が動作する「省略可能な引数」
があります。
省略可能な引数は、ほとんどの場合、角カッコ [ ]
で囲まれて表示されます。
例えば、SUM関数はすべての引数が省略可能です。(引数を指定しないと0が返されますが)
=SUM(数値1, [数値2], ...)
一方、IF関数は3つの引数すべてが必須です。
=IF(論理式, 真の場合, 偽の場合)
関数のヘルプや関数の挿入ダイアログボックスを見ると、どちらの引数なのかがすぐに分かりますよ。
引数のデータ型
引数として指定できる情報の種類にも、いくつかパターンがあります。
- 数値: 数字そのもの(例:
100
,25.5
) - 文字列: 文字データ(例:
"こんにちは"
,"A社"
)。文字列は必ずダブルクォーテーション""
で囲みます。 - セル参照: セル番地(例:
A1
,B5
) - 範囲参照: セルの範囲(例:
A1:A10
,C:C
) - 論理値:
TRUE
(真)またはFALSE
(偽) - 数式: 他の関数や計算式
関数によって、どのデータ型の引数を必要とするかが決まっています。
間違ったデータ型を入力すると、エラーになってしまうので注意しましょう。
実際に触れてみよう!引数の具体例
ここからは、いくつかの代表的な関数を使って、引数の使い方を具体的に見ていきましょう。
例1:SUM関数で合計を求める
SUM関数は、指定した数値や範囲の合計を計算する関数です。
- 構文:
=SUM(数値1, [数値2], ...)
- 引数:
数値1, [数値2], ...
: 合計する数値、セル参照、または範囲を指定します。省略可能です。
具体例を見てみましょう!
商品名 | 売上高 |
A商品 | 1000 |
B商品 | 1500 |
C商品 | 800 |
D商品 | 2000 |
ここに表のデータが挿入されます。
たとえば、上記の売上高(B2:B5)の合計を求めたい場合、次のように入力します。
=SUM(B2:B5)
この場合、「B2からB5までのセル範囲」がSUM関数の引数です。

例2:AVERAGE関数で平均を求める
AVERAGE関数は、指定した数値や範囲の平均を計算する関数です。
- 構文:
=AVERAGE(数値1, [数値2], ...)
- 引数:
数値1, [数値2], ...
: 平均を計算する数値、セル参照、または範囲を指定します。省略可能です。
先ほどの売上高の平均を求めたい場合は、次のようになります。
=AVERAGE(B2:B5)
この場合も、「B2からB5までのセル範囲」が引数ですね。

例3:IF関数で条件によって表示を変える
IF関数は、「もし〇〇だったら△△、そうでなければ□□」というように、条件によって処理を分岐させたいときに使う関数です。
- 構文:
=IF(論理式, 真の場合, 偽の場合)
- 引数:
論理式
: TRUE(真)または FALSE(偽)と評価できる条件式を指定します。(例:A1>100
,B2="完了"
など)必須真の場合
: 論理式がTRUE(真)だった場合に表示する値や実行する処理を指定します。必須偽の場合
: 論理式がFALSE(偽)だった場合に表示する値や実行する処理を指定します。必須
具体例を見てみましょう!
受注番号 | 金額 | 状況 |
A001 | 5000 | |
A002 | 12000 | |
A003 | 3000 |

「金額が10000円以上の場合は『高額』、それ以外は『通常』と表示したい」という場合、C2セルに次のように入力します。
=IF(B2>=10000, "高額", "通常")
このIF関数には、3つの引数があります。
B2>=10000
: 「B2セルの値が10000以上であるか?」という論理式(条件)です。"高額"
: もし条件がTRUE(真)、つまり10000円以上だった場合に表示される「真の場合」の値です。"通常"
: もし条件がFALSE(偽)、つまり10000円未満だった場合に表示される「偽の場合」の値です。
このように、引数を適切に設定することで、関数は私たちの意図した通りの結果を返してくれます。

=IF(B2>=10000, "高額", "通常")
と入力し、結果が表示されました例4:VLOOKUP関数で指定した情報を検索する
VLOOKUP関数は、指定した検索値に基づいて、表の中から関連する情報を取り出す関数です。
- 構文:
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, [検索方法])
- 引数:
検索値
: 検索したい値を指定します。(例:商品コード
、氏名
など)必須範囲
: 検索を行う表の範囲を指定します。検索値は必ずこの範囲の一番左の列にある必要があります。必須列番号
: 範囲の左端から数えて、取り出したい値がある列の番号を指定します。(例: 2番目の列なら2
)必須[検索方法]
:TRUE
(近似一致)またはFALSE
(完全一致)を指定します。省略するとTRUE
になりますが、通常はFALSE
(完全一致)を指定します。省略可能
具体例を見てみましょう!
商品リスト
商品ID | 商品名 | 単価 |
P001 | ボールペン | 150 |
P002 | ノート | 200 |
P003 | 付箋 | 100 |
注文リスト
注文ID | 商品ID | 商品名 | 単価 |
O101 | P002 | ||
O102 | P001 |

注文リストの「商品ID」から、商品リストにある「商品名」と「単価」を自動で表示させたいとします。
注文リストのF3セル(商品名を入れたい場所)に、次のように入力します。
=VLOOKUP(F3,$A$3:$C$5,2,FALSE)
このVLOOKUP関数には、4つの引数があります。
F3
: 検索したい値(この場合、注文リストの商品ID「P002」)が入力されているセルです。これが検索値
です。$A$3:$C$5
: 検索対象となる商品リストの表の範囲です。これが範囲
です。2
: 検索値が見つかったときに、その表の左から何列目の値を取り出すかを示す列番号です。商品名が2列目にあるので2
を指定しています。FALSE
: 完全一致で検索するという指示です。これが検索方法
です。
このように、VLOOKUP関数はたくさんの引数を必要としますが、それぞれの役割を理解すれば、複雑な処理も簡単にこなせるようになります。

引数でつまずきやすいポイントと解決策
引数の入力で「あれ?」となることがいくつかあります。
主なポイントと解決策を見ていきましょう。
引数の区切りは「,(カンマ)」!
意外と忘れがちなのが、引数と引数の間のカンマ(,)です。
これがないと、エクセルはエラー(#NAME?など)を出してしまいます。
例: 間違い =SUM(A1 A5)
例: 正しい =SUM(A1,A5)
または =SUM(A1:A5)
文字列は「””(ダブルクォーテーション)」で囲む!
関数に直接文字を指定する場合は、必ずダブルクォーテーション ""
で囲む必要があります。
囲まないと、エクセルはそれをセル参照や定義済みの名前にしようとしてエラーになります。
例: 間違い =IF(A1="OK", 合格, 不合格)
(「合格」や「不合格」が文字列として認識されない)
例: 正しい =IF(A1="OK", "合格", "不合格")
引数の数を間違えている!
関数によっては、必須の引数の数が決まっています。
引数が足りなかったり、多すぎたりするとエラー(#VALUE!など)になります。
関数の入力中に表示されるヒント(ツールヒント)や、関数の挿入ダイアログボックスを活用して、必要な引数の数を確認しましょう。

引数のデータ型が間違っている!
数値を入れるべき場所に文字列を入れてしまったり、範囲を指定すべき場所に単一のセルを指定してしまったりすると、エラーの原因になります。
例えば、数値しか扱えない関数に文字列を入れると「#VALUE!」エラーが表示されることがあります。
- 例:
=SUM("あああ")
→ エラー
引数として何が必要なのかを常に意識することが大切です。
カッコの閉じ忘れ!
関数の一番最後に「)
」をつけ忘れると、エクセルが教えてくれますが、エラーメッセージが出てしまいます。
入力中は、開きカッコ「(
」の数と閉じカッコ「)
」の数が合っているか意識しましょう。
「関数の挿入」ダイアログボックスを活用しよう!
引数がたくさんあったり、どんな引数が必要なのか分からなくなったりしたときは、「関数の挿入」ダイアログボックスを使うととても便利です。
- 関数を入力したいセルを選択します。
- 数式バーの左にある「fx」ボタンをクリックします。
- 「関数の挿入」ダイアログボックスが表示されます。
- 使いたい関数を選択し、「OK」をクリックします。
- 「関数の引数」ダイアログボックスが表示されます。
このダイアログボックスでは、それぞれの引数が何を表しているのか、どんな情報が必要なのかが分かりやすく説明されています。
また、入力した引数に対する現在の結果もリアルタイムで確認できるので、間違いを防ぎやすくなります。

まとめ:引数をマスターしてエクセルをもっと使いこなそう!
ここまで、エクセルの「引数」について詳しく見てきました。
改めて、
引数とは、「関数が目的の処理を行うために必要な情報(データや設定)」のことでしたね。
関数は、引数という「材料」や「指示」がなければ、何も始まりません。
今日のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 引数は関数の「材料」や「指示」。
- 関数名の直後の「( )カッコ」の中に書く。
- 複数の引数は「,(カンマ)」で区切る。
- 必須の引数と省略可能な引数がある。
- 引数には数値、文字列、セル参照、範囲参照など、様々なデータ型がある。
- 文字列は必ず
""
(ダブルクォーテーション)で囲む。 - 迷ったら「関数の挿入」ダイアログボックスを活用しよう!
引数を正しく理解し、使いこなせるようになれば、これまでなんとなく使っていた関数も、もっと自信を持って活用できるようになります。
そして、エクセルでのデータ処理が格段にスムーズになり、効率もアップすること間違いなしです!
もし、あなたの周りに「引数って何?」と困っている人がいたら、ぜひこの記事で学んだことを教えてあげてくださいね。
人に教えることで、あなたの理解もさらに深まるはずです!
これであなたも、エクセルの「引数マスター」の一歩を踏み出しました!
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