2025年も10月1日に多くの企業が内定式を実施しました。NECのAIアバター登壇、服装自由やイベント化、大手企業の大規模開催など、スタイルは多様化しています。25卒の採用充足率は70.0%にとどまり、内定式は「採用のゴール」ではなく「入社までのエンゲージメント設計」のスタート地点です。
本記事では、ニュースを踏まえつつ、現役人事の視点から「人事が考えるべき内定式の本質」と「今後の実務ポイント」を解説します。
ニュース概要

2025年月に入社する学生の内定式が大手金融機関や航空会社、IT企業などで行われました。「売り手市場」のなかで内定者とのつながりを深めるイベントも開催されました。
みずほフィナンシャルグループの内定式では親睦を深めるため、内定者約1000人と社員が「同時に折り紙のハートを作った最多人数」というギネス記録に挑戦しました。1065人で記録を更新し、認定されました。内定者 「今後、この仲間たちと一緒に頑張っていこうという強い気持ちが生まれました」
一方、三井住友銀行では約670人が内定式に参加しました。
優秀な人材を確保するため、来年4月の新入社員の初任給を30万円に引き上げるほか、来年1月をめどに年功序列を廃止するなど新たな人事制度を導入する方針です。
2026年度の採用では応募が5割近く増えたということです。
航空大手ANAでは総合職や客室乗務員、自社養成パイロットなどの内定者が式典に臨みました。 内定者数は800人を超えて2018年以来、7年ぶりにコロナ禍前の水準に戻りました。 客室乗務員の内定者 「とてもワクワクする気持ちと同時に、来年からお客様方の命を預かる仕事を担うということで身が引き締まる思いです」 自社養成パイロット内定者 「安全を絶対条件に守り続けられるようなパイロットになれるようになりたいと思っています」
ANAはこの1年、欧州3路線を新規就航するなど国際線の拡大を進めていて、コロナ禍前の運航規模の回復を目指し、採用も積極的に行っているということです。
NECは都内の本社で午前と午後の2回に分け、内定式を開いた。午前の式には内定者約800人のうち約400人が参加した。登壇した堀川大介執行役は「挑戦する社員が今のNECをつくっている。次のAI(人工知能)の時代にチャレンジしていくのがみなさんだ」と激励した。
ヤマハでは服装自由(一番楽しいことをしている時の服装)で内定式を開いた。一人一人の個性を大切にした企業であることの表れでもあり、個性の持った学生が入社してくれそうですね。
現役人事の視点:「内定式の本質」
HRが今すぐ考えるべき3つのこと
- 目的とKPIを設定する
「離脱率の低減」「内定者NPS向上」など、具体的な指標を決める。 - 体験型プログラムを重視
単なるスピーチより「現場社員との交流」「小さな業務体験」が効果的。 - 事後フォローを仕組み化する
内定式直後から入社までの接点を計画し、オンライン・メンター制度などで不安を解消する。
まとめ
2025年の内定式は「形式の多様化」と「採用環境の厳しさ」が同時に際立ちました。人事として大切なのは、式そのものではなく「入社までの一貫した体験設計」です。AIやイベント演出よりも、人と人の信頼関係をどう築くかに本質があります。
内定者だけではなくこれから入社する可能性のある学生に対してのアプローチにつながるためより良い内定式を挙げたいですね。
また10月1日に内定式を実施していない企業は可能な限り10月1日に実施したほうが良いです。中には複数の内定式に参加して後日承諾後辞退が発生する可能性があるため、その確認を前もってできるからです。
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