「毎日忙しいけれど、なんだか楽しそうに働いている」
そんな親の姿を見て育った子どもは、将来自分が働くことにどんなイメージを持つでしょうか?
パーソル総合研究所が2025年10月に発表した調査によると、学生の約3人に1人が「親は幸せそうに働いている」と感じており、そのような学生ほど「仕事=楽しいもの」と捉える傾向があるそうです。
つまり、親がどんな気持ちで働いているかは、子どもの“働く未来”にもつながっているんですね。
ニュース概要
調査はインターネットで行い、事前のスクリーニング調査で対象となった15~25歳の学生(高校生~大学院生)1021人と、本調査で対象となった20~69歳の就業者5000人の回答を分析した結果です。
はたらく幸せ/不幸せ実感の経年比較(2020年~2025年)はやや悪化傾向
はたらく事を通じた主観的な実感として、幸福感/不幸感(単項目)について就業者に確認した。2020年時点と比較すると、幸福感を得ている人の割合は(40.8%)と3.1pt減少し、不幸感は(22.5%)と2.3pt増加していた。
また、「幸せを感じない」と回答した割合も増加傾向にある。
これらの事から、仕事を通じた主観的な幸福感/不幸感は、やや悪化傾向にある。

学生のはたらく事へのイメージは期待と不安が入り混じっている
学生に対し、はたらく事に関連付けられる複数の言葉(ポジティブ/ネガティブ)を提示し、はたらく事のイメージを確認した。
学生は、「自由に使えるお金」「趣味や欲しいもののため」といった経済的側面が上位となり、「忙しい」「人間関係が大変」といったネガティブな懸念も上位に上がる。
また、「成長」「人との出会い」といったポジティブな期待感もあがり、経済的充足を求めるリアリズムと共に期待と不安が入り混じっていることが分かる。

働く親の姿が幸せそうだと子供は働くことは楽しいというイメージを持ちやすい
学生(高校生~大学院生)に対し、親のはたらく姿(働いていて幸せそうに見えるか)について印象を確認した。全体の36.2%は「幸せそうだ」と回答したものの、23.3%は「幸せそうではない」と回答した。

親が「幸せそうに見える」学生の66.1%が働くことは「楽しい」というイメージを持っていたが、「幸せそうに見えない」学生では30.9%にとどまった。

年代別|はたらく事を通じて幸せだと感じやすくなった7つの因子
20代・30代で「リフレッシュ因子」をあげる割合が顕著に多く、次いで「自己成長因子」や「役割認識因子」「チームワーク因子」があがった。
60代では、「役割認識因子」「チームワーク因子」「他者承認因子」といった集団への所属と貢献をあげる傾向が確認された。

年代別|はたらく事を通じて不幸せだと感じやすくなった7つの因子
20代・30代では「オーバーワーク因子」をあげる割合が多く、次いで「評価不満因子」や「理不尽因子」などがあがった。
「評価不満因子」は40代以降でも上位にあがるが、50代では「疎外感因子」も同列で上位にあがる。
60代は、「評価不満因子」や「自己抑圧因子」といった能力発揮機会と評価に意識が向く傾向が見られる。

引用:「はたらく人のウェルビーイング実態調査 2025」を発表 「ウェルビーイング」認知度は2年で倍増の27.1%に
親の姿が子どもに与える3つの影響
① 「働くってこういうことなんだ」と学ぶモデリング効果
子どもは、親の姿を見て“働くとはどういうことか”を自然と学びます。
楽しそうに話す親を見れば、「仕事は前向きなもの」と感じ、逆にいつも疲れて不満を口にしている姿を見ると「働くのは大変なこと」と思ってしまうことも。
② 家庭の空気から伝わる“仕事の印象”
仕事がうまくいっていると家庭の雰囲気も明るくなります。
親が満足して働いていると、子どもも安心感を得やすく、将来への期待を持ちやすいという研究結果もあります。
③ 親の言葉や応援が、子どもの進路を支える
「あなたの得意なことを大切にしてね」など、親のひとことが子どものキャリア選択に大きく影響します。
無理に方向づけようとするよりも、そっと見守り、対話することが鍵になります。
人事担当者の方へ:職場からできるサポート
1. 社員が「幸せに働く姿」を発信できる場を
育児や介護と両立しながら働く社員のストーリーを、社内報やSNSで紹介してみましょう。
「大変だけど、今の働き方が自分らしい」——そんなリアルな声は、社内外の共感を呼びます。
2. 家族に会社を知ってもらうきっかけを
ファミリーデーやオンライン見学など、家族が会社を知るイベントを企画するのもおすすめです。
親が安心して自分の仕事を語れるようになると、家庭での会話も自然と前向きになります。
3. “働きやすさ”と“働きがい”を両立させる仕組みを
フレックスや在宅勤務、キャリア相談制度など、社員が自分らしい働き方を選べる環境づくりを。
「会社が支えてくれている」と感じることは、親の“働く幸せ”につながります。
また退職した社員が評価やチームワーク、役割など何が原因で退職したのか?在籍中社員により働きがいをもって働いてもらえる仕組みづくりができないかを検討していくことも大切です。
例えば、20代・30代では「オーバーワーク因子」を通じて幸せを感じにくく、「リフレッシュ因子」を通じて幸せを感じやすいデータがあるから自社にも当てはめて「リフレッシュ休暇(例:バースデー休暇・押し活休暇・STEP休暇・LOVE休暇)」を導入することも検討してよいでしょう。
働く親の方へ:家庭でできる小さな工夫
- 仕事の「うれしい瞬間」を共有してみる
「今日こんなことができたよ」と話すだけでも、子どもは興味を持ちます。 - 失敗もポジティブに伝える
「失敗したけど、こうやって乗り越えたよ」と伝えることで、子どもも挑戦を恐れにくくなります。 - 子どもの質問には“気持ち”で答える
「なんで仕事してるの?」と聞かれたら、「誰かの役に立てるのがうれしいから」と、気持ちを添えて答えてみましょう。
企業・家庭が一緒に目指す未来
「働く幸せ」が家庭で語られる社会になれば、
次の世代は“働くこと=自分らしく生きること”と感じられるようになるかもしれません。
親の姿が、未来の働く意識を育てる。
そんな温かい連鎖を、企業と家庭が一緒に作っていけたら素敵ですね。
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