未経験でIT業界を目指す際、技術スキル以上に大切なのが「職種への適性」です。
スキルは入社後に教えられますが、性格や物事の捉え方を変えるのは難しいからです。
この記事では、人事が面接でどこを見ているのか、以下のポイントに絞って徹底解説します。

自分にぴったりの職種を見つけ、自信を持って面接に臨むためのガイドとして活用してください。
そもそも何が違う?SEと運用エンジニアの役割比較

適性を判断する前に、まずは両者の「ミッション(使命)」の違いを明確にしましょう。
IT業界の構造は、よく「建築」に例えられます。
SEは新しいビルを建てる「設計・建築」の役割を担い、運用エンジニアは完成したビルのインフラを維持し、トラブルから守る「管理・メンテナンス」の役割を担います。
以下の比較表をご覧ください。
それぞれの役割の違いを、採用現場で使われる評価軸と合わせて整理しました。
| 比較項目 | システムエンジニア(SE) | 運用エンジニア |
|---|---|---|
| 主な目的 | クライアントの課題を解決するシステムを「創る」 | 完成したシステムを24時間365日「守る」 |
| 仕事の進め方 | プロジェクト単位 (納期がある) | ルーチンと突発対応 (安定が第一) |
| 対人関係 | 顧客・営業・開発チームとの調整が多い | チームメンバー・データセンター・利用者との調整 |
| 評価される姿勢 | 改善・新規構築への積極性(攻め) | 確実・安全な維持への誠実さ(守り) |

この表からわかる通り、SEは「変化」を楽しみ、運用エンジニアは「安定」を追求する仕事だと言えます。
例えば、SEは顧客の「こんなことがしたい」という抽象的な要望を具体化するために頭を悩ませますが、運用エンジニアは「何も起きない(=100点)」という状態を維持するために細心の注意を払います。
どちらが偉いということはありません。
どちらが欠けても、私たちが普段当たり前のように使っているスマートフォンアプリや銀行のATM、行政サービスなどは成り立たないのです。
システムエンジニア(SE)に向いている人の5つの特徴


では、具体的にどのような人がSEに向いているのでしょうか。人事が「この人はSEとして大成するな」と感じるタイプを深掘りします。
① 論理的思考力(ロジカルシンキング)
プログラムに「なんとなく」は通用しません。
「Aという条件のときにBという処理をすれば、Cという結果が出る」といった、筋道を立てて考える力が必要です。複雑な事象を要素分解し、矛盾なく組み立てることにパズルのような楽しさを感じられる人は非常に向いています。

根拠のない曖昧な判断でシステムを操作してしまうと、万が一不備があった際、自身の担当領域に留まらず他のシステムへも影響が波及し、システム全体を停止させてしまう恐れがあるからです。
② 顧客の「真の要望」を引き出す対話力
SEの仕事の半分以上は「対話」です。
顧客は必ずしもITに詳しいわけではなく、「なんとなく業務を楽にしたい」といった曖昧な要望を投げかけてくる場合があります。
その言葉の裏側にある「本当の悩み」を読み解き、ITの言葉に翻訳する「カウンセラー」のような忍耐強さと洞察力が求められます。
③ 常に変化する「技術」への好奇心

IT業界のトレンドは3年も経てば様変わりします。
一度覚えた知識で一生食べていこうとするのではなく、「最新のツールを使えば、もっと効率的に作れるかも!」と、自発的に学びを楽しめる「知的好奇心」が生命線です。
④ 構造をデザインする「設計」の楽しさ
システム設計は、予算、納期、技術的制約、セキュリティといった多くのピースを組み合わせて、最適解を見つける作業です。限られた条件の中で、最も美しく、効率的な解決策を模索することに喜びを感じるタイプは、設計工程(上流工程)で輝きます。
⑤ プレッシャーを「心地よい緊張感」に変えられる粘り強さ
開発プロジェクトには必ず納期があります。期限が迫る中でバグが見つかった際、焦らずに原因を特定し、最後までやり抜く根気強さが必要です。
スポーツや趣味などで、一つの目標に向かって地道に努力した経験がある人は、人事として高く評価します。
運用エンジニアに向いている人の5つの特徴

次に、ITインフラの守護神である「運用エンジニア」の適性を見ていきましょう。
① 「石橋を叩いて渡る」慎重さとリスク管理能力
運用エンジニアにとって最大の敵は「ヒューマンエラー」です。
一つのコマンド入力ミスが、日本中のサービスを止めてしまう可能性もあります。「もし間違えたら?」と常に最悪の事態を想定し、ダブルチェックを怠らない慎重な人は、現場で絶大な信頼を得ます。
② 小さな違和感に気づく観察力
「今日はいつもよりサーバーの動きが少しだけ重い」「エラーログに見たことがない行がある」。こうした微かな変化は、大規模なシステム障害の予兆であることが多いです。ルーチンワークの中でも、昨日との「違い」に敏感に反応できる感受性は、運用エンジニアの素晴らしい才能です。
③ 突発的なトラブル時の「冷静沈着さ」
システム障害が発生した際、現場は緊迫します。そこでパニックにならず、マニュアルを確認し、優先順位をつけて復旧作業を行える冷静さが求められます。いわゆる「本番に強い」タイプには最適の職種です。
④ 「効率化」への強いこだわり
運用エンジニアは、同じ作業を繰り返すことを嫌います。毎日10分かかる手作業があれば、「これを自動化してゼロにしよう」と考えます。この「楽をするための努力」こそが、システムの信頼性を高める原動力になります。
⑤ 「裏方の美学」に共感できる誠実さ
運用エンジニアの成果は、ユーザーからは見えにくいものです。「今日も何も起きなかった(=平和に動き続けた)」ことが最大の成果だからです。表立って称賛されることよりも、社会を支えているという自負に喜びを感じる、誠実なタイプに向いています。
【重要】人事が共通してチェックする「3大・人間力」

ここまでは職種別の適性を解説しましたが、実は職種を問わず、IT業界で長く活躍するために必須となる人間力があります。
採用面接で人事が最も厳しくチェックしているのは、実は技術よりもこれら3点です。
【コミュニケーション能力】「情報の整理」と「正確な伝達」
「自分は口下手だからIT業界がいい」と考えているなら、それは大きな誤解です。
エンジニアに求められるコミュニケーション能力とは、芸人のような面白さではなく、「事実を正確に伝え、不明点を解消する力」です。
SEの場合
顧客と「何を作るか」の認識を完璧に合わせる。
運用の場合
障害時に「何が起きているか」を上司や関連部署へ1秒でも早く正確に伝える(報連相)。

「結論から話す」「相手の質問に対して的確に答える」という基礎ができている人は、それだけで面接合格率が跳ね上がります。
【体力】「安定して走り続けるための」自己管理能力
「エンジニアは椅子に座っているだけなのに体力が必要なの?」と思われるかもしれません。しかし、現実は精神的・肉体的なタフさが求められます。
SEの場合
リリース前の追い込み期における、高い集中力の維持。
運用の場合
夜勤やシフト制、あるいは緊急呼び出しに対応できる生活リズムの調整。

人事が重視する「体力」とは、徹夜ができることではなく、「体調を崩さず、毎日安定したパフォーマンスを出せる自己管理能力」のことです。
スポーツ経験者や、規則正しい生活を継続している人は、それだけで「信頼できる」と判断されます。
【責任感】「自分の担当」を超えて動けるオーナーシップ
ITシステムは、目に見えない無数の部品の集まりです。障害が起きた際、「自分のコードじゃないから関係ない」「マニュアルに書いてないから知らない」という態度の人が一人でもいると、サービスは崩壊します。
自分が関わったシステムが、エンドユーザーにどのような影響を与えるかを想像し、最後まで責任を持って見届ける。そんな「オーナーシップ」を持っている人を、私たちは探しています。
未経験者が陥りがちな「3つの誤解」
採用の現場で、未経験の方がよく口にする「もったいない誤解」を解いておきます。
- 「プログラミングが完璧じゃないとダメ」
- 「文系だと不利」
- 「運用エンジニアはSEの下位互換」
「プログラミングが完璧じゃないとダメ」
プログラミングはあくまで手段です。大切なのは「ITを使ってどう課題を解決するか」という思考法です。基礎は必要ですが、入社前にプロ級である必要はありません。
「文系だと不利」
むしろ逆です。特にSEは顧客との調整やドキュメント作成が多いため、高い読解力や文章構成力を持つ文系出身者がエースとして活躍している例は枚挙にいとまがありません。
「運用エンジニアはSEの下位互換」
かつてはそう見られることもありましたが、現在はクラウドや自動化技術の発展により、運用エンジニアには非常に高度な専門知識が求められます。スペシャリストとしての市場価値は、SEに勝るとも劣りません。

短期目線で見れば運用エンジニアのほうが単価が低く、給与が低くなるかもしれませんが、長期的にみて運用部分を触って経験したことがあるSEの単価は高いです。
だからこそ、未経験から運用エンジニアを選ぶことはアリです!
あなたはどっち?現役人事による適性診断チェックリスト
最後に、あなたがどちらの職種に適性があるか、直感で答えてみてください。
【グループA:SEタイプ】
【グループB:運用エンジニアタイプ】
判定結果:
グループAが多い方
創造性と論理性を活かすシステムエンジニア(SE)への道が拓けています。
グループBが多い方
確実性と観察力を活かす運用エンジニアが天職かもしれません。
結論:あなたの「性格」こそが、IT業界最大の武器になる

システムエンジニアと運用エンジニア。どちらの道を選んだとしても、そこに「正解・不正解」はありません。
大切なのは、あなたの持っている「コミュ力・体力・責任感」という人間としての基礎土台の上に、どちらの専門性を積み上げたいか、という選択です。
私が見てきた中で、最も成功しているエンジニアは、自分の「性格的な持ち味」を理解し、それを職種の特性にうまく合致させた人たちです。
未経験の皆さんは、まずは「自分の性格を活かせるのはどっちか?」という視点で、自信を持って一歩を踏み出してください。
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