「IT業界に興味があるけれど、開発は難しそう…」
「運用監視って、ただ画面を見てるだけでキャリアにならないのでは?」
そんな不安を抱えていませんか?
IT業界に足を踏み入れる際、開発職に目が向きがちですが、実は人事の視点から見ると『運用キャリア』の持つ可能性は見逃せません。
IT社会のインフラを支えるという責任ある役割を通じて、他では得られない汎用的なスキルを磨ける場でもあるからです。
特に近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、システムを「止めない」だけでなく「変化に強く、安全に最適化し続ける」運用のプロフェッショナルの価値は急騰しています。
この記事では、運用業務の具体的な内容から、現役人事だからこそ見える「評価される人の特徴」、そして今最も注目されている「クラウド移行」の具体的な手順を解説します。
IT運用の本質:なぜこの仕事が重要なのか

IT運用とは、一言で言えば「サービスを安全・快適に継続させること」です。
どれだけ素晴らしいアプリを開発しても、サーバーがダウンしたり、データが漏洩したり、アップデートに失敗して動かなくなったりすれば、そのサービスの価値はゼロになります。
運用の現場は、いわば「デジタル世界の管制塔」。 開発者が「建物を作る大工さん」なら、運用エンジニアは「建物の平和を守り、住人の要望に合わせてリフォームし続ける管理人」です。
【現場解説】IT運用の主要な7つの業務を深掘り
人事が採用面接で「この人は実務をよく理解しているな」と判断するのは、専門用語の先にある「具体的な動き」を実行できる人だと想像できる人です。
主要な7つの業務を具体例とともに見ていきましょう。
① 運用監視(System Monitoring):24時間の「心電図」チェック
単に画面を眺めるのではなく、システムの健康状態をデータで読み解く業務です。
具体的な動き
監視ツール(ZabbixやDatadogなど)のダッシュボードを確認します。「CPU使用率が90%を超えた」「Webサイトのレスポンスが3秒以上かかった」といった警告(アラート)が出たら即座に反応します。
現場のリアル
「いつもより少しだけメモリ消費が早いな…」という微かな違和感に気づき、大規模なサーバーダウンを未然に防いだとき、監視エンジニアの真価が発揮されます。
人事評価
異変を見逃さない「集中力」と、マニュアル外の挙動を報告する「気付きの力」が評価されます。
② 停止代行(Operation on Behalf):確実な「電源操作」のプロ
夜間のメンテナンスや、障害発生時に手順書に従ってシステムを停止・起動させる業務です。
具体的な動き
「今からデータベースを止めます」と関係各所に通知し、コマンドライン(黒い画面)で停止コマンドを打ち込みます。順番を一つ間違えるとデータが破損するリスクがあるため、2人1組で「ダブルチェック」を徹底します。
現場のリアル
「手順書にある停止コマンドがエラーになった!」という事態に直面した際、パニックにならずに状況を記録し、上長へ報告する冷静さが求められます。
人事評価
手順を飛ばさない「誠実さ」と、プレッシャー下での「正確性」が最大の評価ポイントです。
③ 運用統制(Operations Governance):システムの「法と秩序」
誰が、どのデータに、なぜアクセスするのか。そのルールを運用し、証跡(ログ)を残す業務です。
具体的な動き
「本番サーバーに入りたい」という開発者からの申請に対し、正当な理由があるか確認して許可(承認)を出します。また、定期的に操作ログを点検し、不正なアクセスがないか監査します。
現場のリアル
「急ぎだから今すぐパスワード教えて!」という役員の要望であっても、ルールに則り「申請を通してください」と言える毅然とした態度が必要です。
人事評価
セキュリティ意識の高さと、組織のルールを順守させる「ガバナンス能力」が見られます。
④ 運用管理(Operations Management):効率化の「司令塔」
日々の運用で発生したインシデント(問題)を分析し、同じトラブルが起きないように改善を回す業務です。
具体的な動き
「今月はネットワーク遅延のアラートが10回起きた。共通点は月曜の朝だ。原因を特定して設定を変えよう」といったレポートを作成し、対策を実行します。
現場のリアル
現場のメンバーが「作業が多すぎて大変だ」と悲鳴を上げているなら、作業工程を削減するツールを導入するなど、現場を楽にするための立ち回りが求められます。
人事評価
問題解決能力(ロジカルシンキング)と、数値を元にした「提案力」が非常に重視されます。
⑤ 試験環境(Test Environment Management):完璧な「砂場」作り
本番環境に似せた「テスト用の世界」を維持・管理する業務です。
具体的な動き
本番環境のデータを(個人情報を伏せた状態で)試験環境にコピーしたり、新しいOSのパッチを試験環境に先に当てて、システムが壊れないか試したりします。
現場のリアル
「試験環境では動いたのに、本番では動かない!」というトラブルは最も避けたい事態。いかに本番との差異をなくすか、インフラエンジニアとしての腕の見せ所です。
人事評価
サーバーやネットワークの深い「技術的専門性」があるエンジニアと見なされます。
⑥ リリース管理(Release Management):新機能の「関所」
開発者が作った新機能を、実際に世の中に送り出す最終承認と実行を担う業務です。
具体的な動き
「今回の変更による影響範囲はどこまでか?」「万が一動かなかった時の戻し手順は完璧か?」をチェックし、リリース作業のスケジュールを調整します。
現場のリアル
深夜のリリース作業でエラーが発生した際、「このまま続行するか、一旦中止して元に戻すか」を判断する、プロジェクトのアンカー(しんがり)としての役割です。
人事評価
開発サイドの意見も聞きつつ、運用の安定を守る「調整・交渉能力」が評価されます。
⑦ クラウド移行(Cloud Migration):インフラの「引っ越し」
古いサーバーをAWSなどの最新クラウド環境へ移し、最適化する攻めの業務です。
具体的な動き
物理サーバーの中身をイメージ化してクラウドへ転送したり、クラウド独自のサービス(サーバーレスなど)を導入してシステムをより軽く、安く作り替えたりします。
現場のリアル
「今までの設定がクラウドでは通用しない!」という壁に何度もぶつかりますが、それを一つずつ最新技術で解決していくプロセスは、エンジニアとして最も成長を感じる瞬間です。
人事評価
「最新技術へのキャッチアップ能力」と「変革を恐れないマインド」が評価され、年収アップに直結します。
【実践】クラウド移行の具体的な5ステップ

「クラウド移行」を例に具体的にどのような手順で行われるのか、実務の流れを見てみましょう。
ステップ1:現状調査とアセスメント(現状把握)
まず、既存のシステムが「クラウドに移行できる状態か」を調査します。使用しているOSのバージョン、データの容量、依存関係にあるシステムをすべて洗い出します。
ステップ2:移行戦略の立案(「どう移すか」を決める)
「6つのR」と呼ばれる戦略(Rehost, Replatform, Refactorなど)から選びます。そのまま移すのか、クラウドに最適化して作り直すのかを決定します。
ステップ3:クラウド環境の構築(器を作る)
AWSなどのクラウド上に、ネットワーク環境(VPC)、サーバー(EC2)、データベース(RDS)などを構築します。プログラムでインフラを構築する「IaC」を導入する絶好のタイミングです。
ステップ4:データ移行とテスト(中身を移す)
データをコピーし、試験環境で徹底的にテストします。万が一失敗したときに、すぐに元の状態に戻せる「切り戻し手順」の確認が成否を分けます。
ステップ5:切り替えと最適化(本番稼働)
ついに本番環境をクラウドに切り替えます。移行後は、コスト管理や自動でサーバーが増減する設定の調整(運用最適化)を継続します。
現役人事が教える「市場価値が高い運用エンジニア」の共通点
同じ運用業務をしていても、年収が上がる人と停滞する人がいます。その差は3つあります。

「なぜ?」を追求する姿勢
手順書に従うだけでなく、そのコマンドがシステムにどう影響するかを理解している。
自動化への情熱
「毎日30分かかるこのチェック、Pythonで自動化できないかな?」と考える効率化マインド。
非エンジニアへの翻訳能力
障害状況を、IT用語を使わずに経営層や顧客へ説明できるコミュニケーション力。
まとめ:運用から始まるエンジニア人生
IT運用の業務は、決して「開発の下位互換」ではありません。
- 運用監視・停止代行で基礎を学び、
- 試験環境・リリース管理でシステムの構造を知り、
- クラウド移行で最新技術を身につけ、
- 運用統制・運用管理でマネジメントを極める。
この道を進めば、あなたの市場価値は確実に跳ね上がります。
次のステップとしておすすめのアクション
運用の世界は、あなたの挑戦を待っています。
地味に見える「管理人」の仕事こそが、実はデジタル社会を支える最強のキャリアへの第一歩なのです。
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