ニュース記事概要
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、20-50代の正社員のうち、2024年4月に転職活動を行った人と、今後3カ月で転職活動を行う予定の人1,366人を対象に実施した「2025年夏ボーナスと転職に関する調査」の結果を発表した。
今年の夏の賞与が転職に与える影響
転職を検討している正社員のうち、「今年の夏の賞与支給後に転職する予定」と回答した正社員は58.3%となった。年代が若いほど高い傾向がみられ、特に20代では66.4%と最多になった。企業にとっては賞与支給のタイミングは離職リスクの高まる時期といえる。
一方で、「賞与額が高かった場合に転職を思いとどまる可能性がある」と回答した人は51.5%となり、こちらも20代が63.1%と最多だった。

予想より賞与額が高かったので転職を中止した経験
実際に「想定よりも賞与額が高かったことで転職を思いとどまった経験がある」人の割合は全体の33.3%だった。
転職中止を決めた際の賞与額は平均107.1万円で、賞与の金額が転職の意思決定に一定の影響を及ぼしていると考えられる。

賞与が少なくて転職をしたことがあるか
現在転職を検討していて転職経験がある人のうち、過去に賞与が少ないことが理由で転職したと回答した人は69.1%(「1番大きな転職理由だった」(32.1%)+「1番ではないが転職理由だった」(37.0%)の合計)であった。
年代別では賞与が少ないことが「1番大きな転職理由だった」割合が20代において46.0%とほかの年代と比べて高く、賞与額の少なさが特に転職の動機となっていることがうかがえる。また、転職理由となった賞与の平均額をみると、全体平均は38.2万円であった。

また、「1番ではないが転職理由だった」と回答した人に1番の転職理由を聞いたところ、最も多かったのは「賞与以外の給与(月給)が低かった(18.4%)」だった。賞与が一番の転職理由ではなかった人においても、金銭的な点が転職理由となっていたようだ。
理想と現実の賞与額
前年夏の賞与額は平均59.6万円で、自分の仕事に見合うと思う理想の賞与額は平均98.2万円となり、前年の賞与額と理想の賞与額のギャップは38.6万円だった。
年代別にみると、年代が高いほど前年の賞与額・理想の賞与額ともに金額が高い傾向がみられた。前年の賞与額と理想の賞与額の差額が最も大きかったのは30代・50代で40.5万円の差、一方で差額が小さかったのは20代で23.7万円の差となった。

賞与の情報の重要性
「転職先を選ぶ際に賞与金額を重要な情報」と捉えている人は68.6%にのぼり、特に20代でその傾向が強くみられた。
一方で、「選考時に賞与について質問しづらい」と感じている人は73.0%で、こちらも20代が最多であった。賞与に関する情報の重要度は高いものの、実際には選考時に確認しづらいというギャップが存在しているようだ。

転職先に求める賞与水準
前年夏の賞与額が基本給の何カ月分だったか聞いたところ、最も多かったのは「約2カ月分(22.5%)」だった。転職先に求める最低水準でも「約2カ月分(30.0%)」が最多であった。

引用記事:【2025年夏ボーナス調査】夏ボーナスと転職の関係性について
人事コメント
インフレや税負担の増加により実質賃金が減少するなか、賃金上昇が追いついていない状況が続いています。
その一方で、最近では新卒社員の初任給引き上げが頻繁にニュースで取り上げられており、現役社員の間でも「給与を上げるために転職する」ことが一般的な選択肢になりつつあります。
このような環境では、単に初任給のベースアップだけを検討するのではなく、若手社員の離職を防ぐための多角的な施策が求められます。
たとえば、初任給を安易に引き上げるのではなく、賞与の支給額や回数を増やすといった方法も有効です。具体的には、「基本給2か月分の賞与を3か月分に引き上げる」あるいは「決算賞与を導入して年2回から年3回の支給にする」といった工夫が、若手社員の定着率向上につながる可能性があります。
また、給与水準が低い、あるいは賞与が基本給の2か月分以下の企業では、福利厚生の充実によって社員満足度を高めるか、利益配分の見直しによって社員への還元を増やすことを真剣に検討する必要があります。
対応が遅れると離職が増加し、結果的に売上や利益が維持できなくなるリスクがあるため、早急な対策が求められます。
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