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パナソニックは、グループの構造改革の一環として、主力の事業会社で10月に早期退職の募集を実施する見込みだ。募集期間は10月1日〜31日で、勤続5年以上の40〜59歳などが対象と報じられている。募集に応じた社員には退職金の割増が検討されており、グループ全体では1万人規模の人員見直しを想定しているとされる。退職金の割り増しについては、管理職ではない55歳の社員の場合、基準内賃金の60か月分が上乗せされる見通しです。
引用:
現役人事の目線で(コラム風解説)
「日本的終身雇用」との価値観ギャップ — 違和感は消えない
日本企業の長年の慣習であった「終身雇用」「年功序列」は、社員にとっての心理的な安心と、企業にとっての長期的なノウハウ蓄積を生みました。一方で近年はグローバルでの競争や事業ポートフォリオの急速な変化を受け、企業が「人員を数で最適化する」手法を採ることが増えています。個人的には、制度として淡々と早期退職を募集する姿には文化的な違和感を覚えます。
だが同時に、企業側の合理的判断も理解できる、というのが正直なところです。
合理性はあるが「設計」が全てを決める
構造改革の一環として早期退職を実施すること自体は、過剰な固定費を削減し、将来に備えた組織再編を速める合理性を持ちます。ただし
「誰が辞めるか(ポジション)」
「どの知見を残すか」
「退職後の再配置や支援はどうするか」
といった設計次第で、成果と副作用の差は大きく出ます。
機械的に退職人数だけを追うと、重要な技術やプロセス知識が同時に失われるリスクがあります。
技術・ノウハウ継承のリスク — これが最重要課題
大規模な削減で最も怖いのは“空洞化”です。現場の暗黙知、長年の顧客関係、改良の歴史――こうしたものは代替が効きにくく、短期で吸収するのは難しい。人事として提言したいのは次の点です。
これらはコストを投じても競争優位を守るための「投資」と考えるべきです。
社員側の視点での注意点(応募を検討する人へ)
実務提言(企業人事向け短期チェックリスト)
最後に
早期退職は「手段」であって目的ではありません。短期的なコスト削減が達成されても、組織の『持続可能性』を損なえば長期的にはマイナスになります。人事は数字とヒューマンの両方を見て、計画を緻密に設計・実行する責務があります。今回の報道はその難しさと重要性を改めて示しています。
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