ラテラル・シンキング(水平思考力)を鍛える3つの問題(実践編)

仕事術

既存の概念や常識にとらわれず、自由な発想でアイデアを生み出す。それが、「水平思考」です。
論理的思考が「事実→解釈→判断」とタテに考え進めるのに対して、「別の方法はないか?」とヨコに考えるため、水平思考と呼ばれます。

英語では、「ラテラル・シンキング」と呼ばれ、「ウミガメのスープ問題」や「10個のリンゴを3人に均等に配る方法」など、全く別の視点から考える姿勢をさします。
常識や前例に流されず、素直な思考ができるようになるために今回は3問ご紹介します。

2本の線香

ここに2本の線香がある。どちらもきっかり1時間で燃え尽きる。ただし、線香の燃える速度は一定ではない。
線香の9割が10分で燃え、残りの1割が50分かけて燃え尽きることもある。

この線香を使って、45分を計りたい。


どうすれば45分計ることができるだろう?

解説

やっかいなのが「燃える速度は一定ではない」という条件。これがなければ、例えば、「線香を半分のところで折る」といった方法も考えられたのですが。。。

1時間かかる線香を30分で使う方法

「火をつけたら1時間で燃え尽きる線香」
この線香を使って、「1時間」以外の時間を計らないといけない。
それを実現させる方法が、ひとつだけあります。

両端から同時に火をつけること。

この状態でスタートして線香が燃え尽きたとき、「30分」きっかり立ったことを意味します。
そこで

・1本目の線香の「両端」に火をつける
・2本目の線香の「片方」に火をつける

やがて、1本目の線香は燃え尽き、2本目の線香だけが残ります。これが、開始から30分立ったことを意味します。
つまり、2本の線香は、「30分の分だけ燃えた線香」なので、残っている部分は、「30分で燃え尽きる線香」です。

30分かかる線香を15分で使う方法

燃え尽きるのに1時間かかる線香に両端から火をつけて、その半分の30分を計測することができました。
そして手元には、燃え尽きるのに残り30分かかる線香があります。
残った線香の火がついていない側に火をつけて(両端に火が付いた状態にする)ことで、2本目は15分で燃え尽きることになります。

最初の30分で1本目の線香が燃え尽き、次の15分で2本目の線香が燃え尽きます。この手順を踏むことで、きっかり45分を計ることができます。

回答

1本目の「両端」と、2本目の「片方」に火をつける。
1本目が燃え尽きたとき、2本目の「もう片方(両端)」に火をつける。
2本が燃え尽きたときが、スタートから45分が経過した瞬間。

Point

  • 「これは、こういうもの」という先入観を捨てることで、それまで気づかなかった視点が見つかる※今回の問題で言うと、線香は片方だけに火をつけるものという先入観

4つのボート

あなたは4つのボートを、川の向こう岸まで運んでくれと頼まれた。
4つのボートは川を渡るのに、それぞれ1分、2分、4分、8分かかる。

あなたが一度に操作できるボートは2つまで。そして2つのボートを操作して川を渡る場合は、速度が遅い方のボートの所要時間がかかる。

向こう岸にすべてのボートを運ぶためには、最短で何分かかるだろう?

解説

どうやっても、速度が遅い方が時間がかかってしまう状況です。例えば「1分」と「8分」のボートで出発したら、川を渡るのに「8分」かかってしまいます。
どうすれば、4つのボートで最短で向こう岸に渡せるでしょう?意外な組み合わせがカギになるかもしれません。

最大のネックは何か?

この問題を解いてみると、「16分」と回答する人が多数です。
おそらく、こんな風に考えたのではないでしょうか?

1.「1分」「8分」のボートで向こう岸へ
2.「1分」のボートで元の岸へ
3.「1分」「4分」のボートで向こう岸へ
4.「1分」のボートで元の岸へ
5.「1分」「2分」のボートで向こう岸へ

戻ってくるのをすべて「1分」のボートにして催促を目指すという発想は秀逸です。
ですが、実は最短の方法ではないのです。

ボトルネック同士を組ませる

この問題の課題になってくるのは、「速度の遅いボート」の存在です。
ここに目を向け、「戻りを早くする」という思考に加えて、

遅いボートをまとめて運べないか?」という視点が必要です。

「8分」のボートはどのボートと一緒に運んだところで8分かかるので、次に遅い「4分」のボートと一緒に運んでしまうことで、遅いボートを運ぶ回数を減らしてしまおうという発想です。
しかし「4分」のボートで戻ってくると大きなタイムロスとなる。なので、先に「1分」「2分」のボートを向こう岸に用意しておくことがベストです。

1.「1分」「2分」のボートで向こう岸へ
2.「1分」のボートで元の岸へ
3.「4分」「8分」のボートで向こう岸へ
4.「2分」のボートで元の岸へ
5.「1分」「2分」のボートで向こう岸へ

回答

15分

Point

  • 「良い方法」を考えるだけでなく、「悪い要因」に目を向けることで、新しい発想が見えてくることもある

のろのろ馬レース

馬に乗っている2人に、王様がこういった。
「2人で競争して、勝った馬の主に宝を与えよう。ただし、後にゴールしたほうを勝ちとする。」
そこで2人は、相手より先にゴールしないよう、のろのろとレースをしていた。このままでは、いつまでも勝負がつかない。
だが、通りかかった賢者が「あること」を提案した結果、2人はものすごい速度でゴールへ向かっていった。

賢者は何といった?

解説

ふつうに「早い方を勝ちとする」なら、話が早かったですよね。この問題は発想力だけが求められる問題です。

「勝利の条件」は何か?

勝利条件は、「自分が相手より後にゴールすること」のように見えます。だから2人は、のろのろと時間をかけて走っているのだと。ですが、王様の発言をしっかり見てみましょう。

勝った馬の主のほうに宝を与える。

「勝った人」ではなく、「勝った馬」といっているのがポイントです。つまり勝利条件は「自分の馬が後でゴールすること」です。
これはいいかえると

相手の馬が先にゴールすれば勝てる

ということです。

発想を転換させる

この勝利条件に目を向ければ、あとは簡単です。
つまり、お互いの馬を入れ替えてレースをすれば、その馬で先にゴールしたほうが勝ちになります。
要するに、普通のレースになります。

賢者はこの方法を提案したため、2人は全速力でゴールに向かったわけです。

回答

「お互いの馬を入れ替えてみて」

Point

  • 「変えてはいけない部分」を明確にすることで、それ以外の点において自由な発想ができるようになる。

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