「Excelにデータを入力する際、誤字脱字が多くて困る…」 「人によって入力内容がバラバラで、後からの集計が大変…」 「毎回同じ内容を入力するのが面倒で、もっと効率化したい…」 「特定の選択肢の中からだけ選んで入力させたいけど、どうすればいいの?」
こんなお悩み、Excelを使っている方なら一度は感じたことがあるんじゃないでしょうか?
これらの課題をまとめて解決してくれるのが、Excelの「プルダウンリスト」です!「ドロップダウンリスト」とも呼ばれるこの機能を使えば、あらかじめ設定した選択肢の中から選んで入力できるようになります。
これにより、手入力の機会が減り、入力ミスや表記ゆれを劇的に削減できます。結果として、データの集計・分析が格段にラクになり、作業効率が飛躍的に向上するでしょう。
この記事では、プルダウンリストの基本的な作成方法から、実務で役立つ具体的な活用例、さらには使う上での注意点まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。
この記事を読めば、あなたのExcelシートが「より正確で、より使いやすい」ものに変わること間違いなし!ぜひ最後まで読んで、プルダウンリストをマスターしてくださいね。
超基本!プルダウンリスト(ドロップダウン)の作り方
まずは、プルダウンリストを実際に作る手順を見ていきましょう。とっても簡単なので、ぜひExcelを開きながら試してみてください。
ステップ1:プルダウンリストを設定したいセルを選択する
まずは、プルダウンリストを表示させたいセル(複数セルでもOK)をクリックして選択します。
部署名と役職、入社日をプルダウンリストで作成してみましょう!

ステップ2:「データ」タブを開き、「データ入力規則」をクリックする
Excelの上部メニューから「データ」タブをクリックします。 次に、「データツール」グループの中にある「データ入力規則」アイコンをクリックしてください。

ステップ3:「データ入力規則」ダイアログボックスで設定を行う
「データ入力規則」のダイアログボックスが開いたら、以下の設定を行います。
- 「設定」タブをクリックします。
- 「入力の種類」で「リスト」を選択します。
- 「元の値」にプルダウンリストに表示させたい項目を設定します。ここには2つの方法があります。
- 方法1:項目を直接入力する
- 項目をカンマ(
,
)で区切って入力します。 - 例:
営業1部,営業2部,経理部,人事部,IT事業部
- 項目数が少ない場合や、一時的なリストに使いたい場合に便利です。
- 項目をカンマ(
- 方法1:項目を直接入力する

- 方法2:セル範囲を指定する
- あらかじめExcelシートのどこかにリストとして使いたい項目を入力しておき、そのセル範囲を指定します。
- 例:
=$G$2:$G$6
(同じシートのG2からG6セルを参照する場合) - 例:
Sheet2!$A$1:$A$10
(Sheet2のA1からA10セルを参照する場合) - 項目数が多い場合や、リストの内容を頻繁に更新する可能性がある場合に非常に便利です。
- 「OK」ボタンをクリックして設定完了です!

設定したセルをクリックすると、右側に▼マークが表示され、クリックすることで設定したリストが表示されるようになります。

ちょっと補足:「空白を無視する」と「ドロップダウンリストから選択する」
「データ入力規則」ダイアログボックスの「設定」タブには、他にもチェックボックスがあります。
- 「空白を無視する」: これにチェックが入っていると、空のセルは入力規則の対象外となります。通常はこのままでOKです。
- 「ドロップダウンリストから選択する」: これにチェックが入っていないと、リストから選択できなくなってしまいます。プルダウンリストとして使いたい場合は必ずチェックを入れておきましょう。
さらに便利に!プルダウンリストの応用テクニック
プルダウンリストは、基本的な使い方だけでも十分便利ですが、いくつかの応用テクニックを知ることで、さらに強力なツールとして活用できます。
応用1:別シートのリストを参照して作る
先ほどの基本の作り方でも触れましたが、プルダウンの元になるリストを別のシートにまとめておくのは、データの管理性とメンテナンス性を考えると非常におすすめです。
例えば、「部署名」シートに部署名リストを作っておき、データ入力シートの「部署名」列のプルダウンでそのリストを参照する、といった具合です。
こうすることで、部署の増減や部署名の変更が発生したとしても、「部署名」シートのリストを修正するだけで、全てのプルダウンに反映されるので非常に効率的です。
- 新しいシート(例:
リスト
)を作成し、A列にプルダウンに表示したい項目を一覧で入力します。 - プルダウンを設定したいシートに戻り、対象セルを選択します。
- 「データ入力規則」を開き、「元の値」で
リスト!$A$1:$A$10
のように、リスト
シートのA1からA10セル範囲を指定します。

応用2:リストの内容を自動で増やせるようにする(動的なリスト)
リストに項目が追加されるたびに「データ入力規則」の設定を開いて参照範囲を広げるのは手間ですよね。そんな時は、動的なリストを作成する方法が便利です。
一番簡単なのは、「テーブル機能」を使うことです。
- リストの元となる範囲を選択し、「挿入」タブから「テーブル」をクリックしてテーブル化します。
- このテーブルの名前(例:
商品リスト
)を定義します。 - プルダウンの「元の値」に、テーブルの列全体を指定します。
- 例:
INDIRECT("部署名[部署名]")
- もしくは、テーブル名を直接指定できる場合は
テーブル名[列見出し]
で指定します。
- 例:

こうすることで、テーブルに新しい項目を追加するだけで、自動的にプルダウンリストにも反映されるようになります。
応用3:エラーメッセージと入力時メッセージを設定して、ユーザーを誘導する
プルダウンリストを設定しても、ユーザーがリスト外の値を入力してしまう可能性はゼロではありません。そんな時のために、「入力時メッセージ」と「エラーメッセージ」を設定しておきましょう。
- プルダウンを設定したセルを選択し、再度「データ入力規則」を開きます。
- 「入力時メッセージ」タブをクリックします。
- 「タイトル」と「入力時メッセージ」を設定すると、セルが選択されたときにそのメッセージが表示され、ユーザーにヒントを与えられます。
- 例: タイトル「入力方法」、メッセージ「リストから選択してください!」


- 「エラーメッセージ」タブをクリックします。
- 「スタイル」でエラーの種類(停止、注意、情報)を選択し、「タイトル」と「エラーメッセージ」を設定します。
- 「停止」を選ぶと、リスト外の入力が完全にブロックされます。
- 例: タイトル「入力エラー」、メッセージ「このセルにはリストにない値を入力できません。リストから選択してください。」


これらのメッセージを設定することで、よりユーザーフレンドリーなExcelシートを作成し、データの入力品質をさらに高めることができます。
応用4:連動するプルダウンリストを作成する(例:商品タイプ→ 商品)
これは少し高度なテクニックですが、非常に実用的なのでぜひ知っておいてほしい応用です。例えば、「商品タイプ」を選択すると、その商品タイプに対応する「商品」のプルダウンリストが表示される、といった連動型のプルダウンが作成できます。

A8セルには”果物、肉、魚”の選択ができて、A10セルにA8セルに入力したものから具体的な商品名をプルダウン形式で選べるようにしていきます。
この機能は、主に「INDIRECT関数」と「名前の定義」を組み合わせて実現します。
まずは、A8セルにはこれまで通り、データの入力規則のリストから商品タイプの選択を以下の画像のようにします。

続いて、「数式」→「選択範囲から作成」を選択します。上端行を選択し、OKを押下します。



そうしてA8セルにデータの入力規則で”=果物”と入れると、果物の商品名のみ選択されることができました!こちらを応用して、作成していきます!

まずは果物で作成した通り、数式から肉、魚にも名前の定義をしていきます。それが終わったら以下の条件分をA10セルに入力してください。
A10セルのデータの入力規則に入力する値:=INDIRECT($A$8)

そうすると、以下の画像のように、タイプ毎に商品名が選択できるようになりました!


プルダウンリストの編集・解除・コピー方法
プルダウンリストを設定した後も、内容を変更したり、設定を解除したり、他のセルにコピーしたりすることがよくあります。その方法も確認しておきましょう。
編集方法
設定済みのセルを選択し、再度「データ」タブ → 「データ入力規則」をクリックします。ダイアログボックスが開くので、「元の値」の内容や参照範囲を変更して「OK」をクリックすれば、簡単に編集できます。
解除方法
- プルダウンリストを解除したいセル(複数選択可)を選択します。
- 「データ」タブ → 「データ入力規則」をクリックします。
- ダイアログボックスの左下にある「すべてクリア」ボタンをクリックし、「OK」で確定します。
これで、選択したセルのプルダウンリストが解除され、自由に文字を入力できるようになります。
コピー方法
既にプルダウンリストが設定されているセルを別のセルにコピーしたい場合、通常のコピー&ペーストでは値だけが貼り付けられてしまい、プルダウン設定はコピーされません。
- プルダウン設定がされているセルをコピーします(
Ctrl + C
)。 - 貼り付けたいセルを選択し、右クリックメニューから「形式を選択して貼り付け」を選びます。
- 「形式を選択して貼り付け」ダイアログボックスで「入力規則」を選択して「OK」をクリックします。
これで、プルダウン設定だけが貼り付けられるので、値は空白のまま、プルダウン機能だけを簡単にコピーできます。
プルダウンリストを使う上での注意点・トラブルシューティング
最後に、プルダウンリストを使う上で知っておきたい注意点や、もしもの時のトラブルシューティングのヒントをお伝えします。
- リストの項目数が多すぎる場合:
- プルダウンのリストに数百、数千といった非常に多くの項目を設定すると、リストが表示されるまでに時間がかかったり、ユーザーが目的の項目を見つけにくくなったりすることがあります。
- 項目数が多い場合は、
VLOOKUP
関数などを使って、コードやキーワードを入力して自動表示させる方が効率的な場合もあります。
- リストの参照元を変更した場合:
- 「元の値」でセル範囲を指定している場合、その参照元のセルを移動したり削除したりすると、プルダウンが正しく機能しなくなることがあります。参照範囲がずれていないか確認しましょう。
- コピー&ペースト時の注意:
- 前述の通り、プルダウン設定は通常のコピーでは値だけが貼り付けられてしまい、設定自体はコピーされません。必ず「形式を選択して貼り付け」で「入力規則」を選択するようにしましょう。
- シートが保護されている場合:
- シート保護をかけると、プルダウンリストが操作できなくなることがあります。シート保護をかける前に、プルダウンを設定したセルのロックを解除しておく必要があります。(セルの書式設定 → 保護タブで「ロック」のチェックを外す)
まとめ:プルダウンリストでExcelのデータ管理を効率化しよう!
この記事では、Excelのプルダウンリスト(ドロップダウンリスト)について、作成方法から応用テクニック、注意点までを詳しく解説しました。
プルダウンリストは、
- 入力ミスや表記ゆれを防止し、データの品質を向上させる
- 選択肢から選ぶだけで入力できるため、作業効率が格段にアップする
- データの集計や分析がスムーズになる
といった、非常に多くのメリットを持つ機能です。
ぜひ、今回学んだプルダウンリストの活用方法を、あなたのExcel作業に活かしてみてください。きっと、より正確で使いやすい、そして何よりも効率的なExcelシートを作成できるようになるはずです!
もし、他にも「こんなExcelの機能について知りたい」「この関数をもっと詳しく解説してほしい」といったご要望があれば、ぜひコメントで教えてくださいね!
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