Excelを使っていると、突然セルに表示される「#DIV/0!」や「#N/A」といった見慣れない文字。
これらは「Excelのエラーメッセージ」です。エラーが出ると「間違えたかな?」と焦ってしまいますが、実はこれらのメッセージは、Excelが「ここに問題がありますよ!」と教えてくれているサイン。エラーの意味を理解し、適切に対処することで、データ入力や数式の作成が格段にスムーズになります。
この記事では、Excelでよく遭遇する主要なエラーの種類と、それぞれの具体的な対処法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。もうエラーに悩まされることはありません!
Excelエラーの正体とは?なぜ表示されるの?
Excelのエラーは、数式や関数が正しく機能しなかったり、参照しているデータに問題があったりする場合に表示されます。
例えるなら、車の警告灯のようなもの。点灯した警告灯の種類によって、エンジンの問題なのか、タイヤの空気圧の問題なのかがわかるように、Excelのエラーメッセージも、何が原因で問題が起きているのかを教えてくれます。
エラーを理解することは、Excel作業の効率アップに直結します。
これで解決!Excelの主要エラーと具体的な対処法
ここでは、Excelで頻繁に見かけるエラーとその原因、そして解決策を具体例を交えてご紹介します。
#DIV/0!:0で割ろうとしています!
- 意味: 数式の分母が「0」になっている場合に表示されます。
- 主な原因:
- 計算式で0で割り算を実行している。
- 分母として参照しているセルが空白(Excelでは空白を0として扱います)。
- 具体的なデータ例:
商品名 | 売上個数 | 売上単価 |
---|---|---|
りんご | 100 | 200 |
みかん | 150 | 150 |
なし | 0 | 300 |
ぶどう | 80 | 250 |

- エラー発生例: 上記のデータで、「売上単価 ÷ 売上個数」を計算しようとした場合。
- 計算式:
=C2/B2
(りんごの単価を個数で割る)B4
セルが「0」のため、C4/B4
は#DIV/0!
エラーになります。
- 計算式:

#DIV/0!
エラーが発生しました具体的な対処法:
分母の値を修正:計算の元となる分母のセルに正しい数値を入力します。
空白セルに注意:空白のセルが分母になる場合は、適切な値を入力するか、計算対象から外すように数式を調整します。
IFERROR
関数でエラーを非表示に:エラー表示を防ぎたい場合は、IFERROR
関数を使います。
例: =IFERROR(C2/B2, “”)B2が0や空白でエラーになる場合、セルには何も表示されません。代わりに「”計算できません“」など、分かりやすいメッセージを入れることも可能です。

IFERROR
関数で#DIV/0!
エラーが対処されました!#N/A:データが見つかりません!
- 意味: 「Not Applicable」または「Not Available」の略で、VLOOKUPやXLOOKUP、MATCHなどの検索関数が、指定された値を見つけられなかった場合に表示されます。
- 主な原因:
- 検索したい値が、検索範囲の中に存在しない。
- 検索範囲の指定が間違っている。
- 検索値や参照リストに余分なスペースや表記ゆれがある。
- 具体的なデータ例: [商品リスト]
商品ID | 商品名 | 単価 |
---|---|---|
A001 | ノート | 150 |
A002 | ペン | 80 |
A003 | 消しゴム | 50 |
検索ID |
---|
A001 |
A005 |
A003 |
- エラー発生例: 上記のデータで、検索IDから商品名を取得しようとした場合。
- 計算式:
=VLOOKUP(E2,A:C,2,FALSE)E3
セル(検索IDが「A005」)は商品リストに存在しないため、#N/A
エラーになります。
- 計算式:

- 具体的な対処法:
検索地と範囲の確認:検索したい値(例: 商品ID)が、検索対象のリスト(例: 商品リスト)に本当に存在するか、そして検索範囲が正しく指定されているかを確認します
データの一致を確認:全角/半角、大文字/小文字、末尾のスペースなど、見えない部分での不一致がないか確認しましょう。TRIM関数で不要なスペースを削除するのも有効です。
IFNA関数やIFERROR関数で対応:データが見つからなかった場合に「見つかりません」などのメッセージを表示させることができます。
例: =IFNA(VLOOKUP(E2,A:C,2,FALSE),"データなし")
E2
の値をA:C
の範囲から探し、見つからなければ「データなし」と表示します。

IFNA
関数で#N/A
エラーが対処されました#NAME?:関数名が間違っています!
- 意味: 関数名や定義された名前のスペルミスがある、またはExcelが認識できない名前が数式に含まれている場合に表示されます。
- 主な原因:
- 関数名の入力間違い(例:
SUM
をSAM
と入力)。 - 定義した名前(名前の定義)が存在しない、またはスペルミスがある。
- 文字列を二重引用符(
"
)で囲んでいない。
- 関数名の入力間違い(例:
- 具体的なデータ例:
数値1 | 数値2 |
---|---|
10 | 20 |
30 | 40 |
- エラー発生例: 上記のデータで、合計値を計算しようとした場合。
- 計算式:
=SAM(A2:B3)
(SUM
をSAM
と間違えて入力)
- 計算式:

具体的な対処法:
関数名のスペル確認: 一番多い原因です。関数の入力中に表示される候補から選ぶようにすると、ミスを防げます。
名前の定義の確認: 名前ボックスで定義された名前が存在するか、スペルが合っているか確認します。
文字列は引用符で囲む: 数式内で文字列を直接記述する場合は、必ず"〇〇"
のように二重引用符で囲みます。
例: =IF(A1="合格","OK","NG")
#REF!:参照しているセルがありません!
- 意味: 数式が参照しているセルや範囲が削除されたり、無効になったりした場合に表示されます。「Reference」の略です。
- 主な原因:
- 数式が参照しているセル、行、または列を削除してしまった。
- 数式が参照しているシートを削除してしまった。
- セルのコピー&ペーストなどで参照先がずれてしまった。
- 具体的なデータ例:
売上 | 費用 | 利益 |
---|---|---|
1000 | 300 | 700 |
1200 | 400 | 800 |
- エラー発生例: 上記のデータで、C列に「=A2-B2」のように利益を計算する数式が入っていたとします。ここで、B列(費用)を削除した場合。
- B列を削除すると、
=A2-B2
という数式は=A2-#REF!
となり、C列に#REF!
エラーが表示されます。
- B列を削除すると、


具体的な対処法:
「元に戻す」で復元: もし削除した直後なら、Ctrl+Z(MacはCommand+Z)で操作を元に戻せる場合があります。
数式を修正: エラーになっている数式を直接編集し、正しい参照先を再指定します。
参照先を再確認: シートやブックをまたいだ参照の場合、リンクが壊れていないか確認します。
#VALUE!:値の型が間違っています!
- 意味: 数式内で不適切なデータ型が使われている場合に表示されます。例えば、数値の計算に文字列が含まれている場合などです。
- 主な原因:
- 数値として扱われるべきセルに、文字や記号が入っている。
- 日付計算に、日付として認識されない値が含まれている。
- 隠れたスペースや特殊文字が入力されている。
- 具体的なデータ例:
数値1 | 数値2 |
---|---|
100 | 200 |
50 | ABC |
120 | 180 |
- エラー発生例: 上記のデータで、A列とB列を足し算しようとした場合。
- 計算式:
=A2+B2B3
セルが「ABC」という文字列のため、A3+B3
は#VALUE!
エラーになります。
- 計算式:

具体的な対処法:
参照先のデータ確認: 計算の元になるセルに、数値や日付以外の文字が入っていないか確認します。
不要な文字の削除: TRIM関数やCLEAN関数を使って、余分なスペースや印刷されない文字を削除します。
データ型の変換: テキスト形式の数字を数値に変換したい場合は、VALUE関数を使うか、「区切り位置」機能で変換できます。
######:セルが狭すぎて表示できません!
- 意味: エラー値ではありませんが、セルの幅が狭すぎて、入力された数値や日付が完全に表示できない場合に表示されます。
- 主な原因:
- セルの幅が、内容(特に日付や長い数値)を表示するのに十分でない。
- 日付や時刻を扱うセルで、計算結果が負の値になった場合(Excelでは日付をシリアル値で管理しているため)。
- 具体的なデータ例:
長い数値 | 日付 |
---|---|
1234567890 | 2025/12/31 |
- エラー発生例: 上記のデータで、例えばA列の幅が狭い場合。
- A列のセルに「1234567890」という長い数値が入っていても、列幅が足りないと「######」と表示されます。同様に、日付が入っているB列も、幅が狭いと「######」となることがあります。

具体的な対処法:
列の幅を広げる: エラーが出ている列の境界線をダブルクリックするか、ドラッグして幅を広げます
セルの書式設定を確認: 数値の小数点以下の桁数や、日付の表示形式を見直します。
日付の計算を確認: 日付や時刻の計算で、結果が負にならないように数式を調整します。

エラーは怖くない!解決のヒントと予防策
エラーインジケーターを活用: エラーが出ているセルの左上には、緑色の小さい三角形が表示されることがあります。これをクリックすると、エラーに関する情報や修正オプションが表示されます。

数式のトレース: 「数式」タブにある「参照元のトレース」や「参照先のトレース」を使うと、数式の参照関係が矢印で表示され、どこに問題があるか視覚的に把握できます。

IFERROR
関数で予防: 計算結果がエラーになる可能性がある数式には、あらかじめIFERROR
関数を設定しておくと、エラー表示を防ぎ、より見やすいシートを作成できます。
まとめ
Excelのエラーメッセージは、一見すると厄介な存在に見えるかもしれません。
しかし、それぞれが明確な意味を持っており、その意味を理解すれば、問題解決への道筋が見えてきます。
今回ご紹介した主要なエラーと対処法を参考に、ぜひExcel作業をさらに効率アップさせてください。
エラーが出ても慌てず、一つずつ原因を探していくことで、あなたのExcelスキルは確実に向上します。頑張ってください!
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