「育休が終わって復職したら、家計がどうなるのか不安…」
そう感じているパパ・ママは多いはずです。実際、育休中から復職後にかけてのお金の動きは、複数の制度が絡み合っていて、全体像をつかんでいる人はほとんどいません。

この記事では、IT企業で人事を6年担当している私が、育休給付金の終了から復職後の家計まで、お金の動きを時系列で丸ごとまとめました。
制度ごとに単独で調べると見落としが出やすい「お金の全体像」を、ひとつの記事で把握できるように整理しています。ぜひ最後まで読んで、復職準備の参考にしてください。
- 育休給付金の給付率(67%→50%)が切り替わるタイミング
- 育休中の社会保険料免除が終わる瞬間とその影響
- 復職後に手取りが想定より下がる「タイムラグ問題」の正体
- 時短復職後に使える2つの手続き(報酬月額変更届・養育期間特例)
- 保育料が住民税によって決まる仕組みと注意点
- 復職前後の家計シミュレーション(月収別の比較)
- やることチェックリスト(コピーして使える形式)
育休給付金のおさらい:いつまで・いくらもらえるか

まずは育休給付金の基本から確認しておきましょう。
育児休業給付金は、育休中の収入を雇用保険から補填するための制度です。育休開始から180日目(約6ヶ月)までは賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます。
給付率の計算式
育休給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率(67% or 50%)
「休業開始時賃金日額」とは、育休開始前の直近6ヶ月間の給与合計を180で割った金額です。
月収別の給付金目安(2026年度版)
| 育休前の月収(額面) | 最初の6ヶ月(67%) | 7ヶ月目以降(50%) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約13万4,000円 | 約10万円 |
| 25万円 | 約16万7,500円 | 約12万5,000円 |
| 30万円 | 約20万1,000円 | 約15万円 |
| 上限(月収46万円以上) | 約32万3,811円 | 約24万1,650円 |
※2026年度の上限日額16,110円をもとに30日換算で算出。実際の支給額は支給日数によって変動します。
社会保険料が免除されているので手取りは思ったより多い
育休中は健康保険・厚生年金の社会保険料が労使ともに免除されます。そのため、「給付率67%」でも実質的な手取りは育休前の約80%水準になるよう設計されています。

給付金は育休前の給料をベースに計算されるので、育休に入る前の数ヶ月の給与をしっかり確認しておくことが大切です。残業や通勤手当が多い月が続いていた場合は給付金が増える場合があります。
育休中の社会保険料免除:いつ終わる?
育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されています。この免除は育休が終了した翌月から終わり、給与から再び天引きされるようになります。
免除終了のタイミングを整理
| タイミング | 社会保険料の扱い |
|---|---|
| 育休中 | 全額免除(労使ともに) |
| 復職した月 | 通常の保険料が再開 |
| 復職後しばらく | 育休前の高い給与水準のまま保険料が引かれ続ける(←ここが問題) |
復職のタイミングや月の中旬・月末の違いによって、免除対象となる月が変わる場合があります。詳細は会社の総務・人事担当者に確認するようにしましょう。

育休中に給付金と社会保険料免除の両方のおかげで家計が安定していたところに、復職後いきなり両方が変わります。ここが一番ショックを受けやすいポイントです。
復職後の手取りが想定より少ない理由「タイムラグ問題」
「時短で給料は下がるのに、保険料は高いまま」——これが、育休明けの復職後に多くの親が直面する「タイムラグ問題」です。
なぜタイムラグが生まれるのか
社会保険料の計算のもとになる「標準報酬月額」は、通常は年に一度(4〜6月の給与をもとに)しか見直しされません。
つまり、時短復帰で給与が下がっても、その見直し時期が来るまでは育休前のフルタイム給与をベースにした高い保険料が引かれ続けるのです。
【画像:標準報酬月額のタイムラグ問題のイメージ図】
具体例:月収30万円→20万円に下がった場合
| 項目 | 手続きなし | 手続きあり(4ヶ月目以降) |
|---|---|---|
| 額面給与 | 20万円 | 20万円 |
| 社会保険料(目安) | 約4.5万円(旧30万円基準) | 約3万円(新20万円基準) |
| 概算手取り | 約15.5万円 | 約17万円 |
| 家計への差 | — | 月1.5万円・年間約18万円の差 |
この差を解消するのが、次の章でお伝えする2つの手続きです。
手取りを守る2つの手続き
復職後の手取りを守るために、ぜひ知っておいてほしい手続きが2つあります。
① 育児休業等終了時報酬月額変更届(育休等終了時改定)
通常の保険料見直しは年1回ですが、この手続きを使うと復職後の実態の給与に合わせて、早期(4ヶ月目から)に保険料を下げることができます。
通常の改定より条件が緩く、「1等級でも差があれば改定できる」のが育休明けの特典です。
詳しい手続きの流れや申請のコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 【実例付き】育休復帰・時短勤務の家計を守る2つの重要手続き
② 養育期間標準報酬月額特例
「保険料を下げると、将来の年金も下がるのでは?」という心配も解消できます。
この特例を使うと、保険料は実際の(低い)給与ベースで払いながらも、将来の年金計算では育休前の高い給与のまま払ったことにしてくれます。
子どもが3歳になるまでの期間が対象です。
つまり、今の手取りを増やしながら、将来の年金額も守れるという、非常に手厚い制度です。
詳しくは以下の記事もあわせてご覧ください。
👉 【実例付き】育休復帰・時短勤務の家計を守る2つの重要手続き

人事として補足すると、これらの手続きは会社が自動でやってくれるわけではありません。本人からの申し出が起点となることが多いです。復職当日か、復職後1週間以内に総務・人事担当者に確認するのがベストです。
保育料の仕組みと住民税の関係
育休から復職するとほぼ同時に、保育園の入園・保育料の負担が始まります。
保育料は「住民税の所得割額」で決まる
認可保育園(0〜2歳)の保育料は、世帯の住民税(市区町村民税の所得割課税額)の合計額をもとに、自治体が決定します。
所得割課税額は「住民税決定通知書」(毎年6月ごろ会社や自治体から届く書類)に記載されています。共働きの場合は夫婦合算の金額が基準になります。
切り替わりのタイミングに注意
| 期間 | 保育料算定のもとになる住民税 |
|---|---|
| 4月〜8月 | 前年度の住民税所得割額 |
| 9月〜翌3月 | 当年度の住民税所得割額 |
例えば、2026年4月〜8月の保育料は2025年度の住民税が基準です。育休中で収入が減っていた年の住民税が低くなる場合、その翌年の保育料が比較的安くなることもあります。
3歳以上になると保育料は無償
3歳児クラス以上(満3歳になった年度の4月以降)は、幼児教育・保育の無償化によって認可保育所の基本保育料は無料になります。ただし、延長保育料や食材費(副食費)などは引き続き自己負担です。

保育料は自治体によって金額の幅が大きいです。お住まいの自治体のホームページに「保育料一覧表」が掲載されていることが多いので、入園前に住民税決定通知書と照らし合わせて確認しておくと安心です。
復職前後の家計シミュレーション(月収別)
育休給付金・社会保険料・手取りがどう変わるか、復職前後の流れを時系列でまとめました。
【画像:復職前後のお金の変化タイムライン】
育休前〜復職後のお金の動き(月収30万円の場合)
| フェーズ | 給与/給付金 (手取り目安) | 社会保険料 | ポイント |
|---|---|---|---|
| フルタイム勤務中 | 約23〜24万円 | 通常(約4.5万円) | ベースライン |
| 育休開始〜6ヶ月 | 約20万円(給付金67%+免除) | 免除 | 実質手取りほぼ維持 |
| 育休7ヶ月目〜 | 約15万円(給付金50%+免除) | 免除 | 節約モードへ |
| 復職直後(時短・手続きなし) | 約15.5万円 | 旧30万円基準(約4.5万円) | 一番しんどい時期 |
| 復職4ヶ月目〜(手続きあり) | 約17万円 | 新20万円基準(約3万円) | 月1.5万円改善 |

「復職直後が一番しんどい」というのは、人事として育休者の声を聞いてきた実感と一致しています。給付金が終わって保険料が戻ってくる時期が重なるので、特に復職後1〜3ヶ月目の家計は要注意です。手続きで改善できる部分は早めに動いておきましょう。
やることチェックリスト
育休中〜復職後にやるべきことを、時期別にまとめました。コピーしてメモ帳などに貼り付けてお使いください。
【育休中〜復職1ヶ月前】
【復職当日〜1週間以内】
【復職3ヶ月目ごろ】
まとめ:お金の全体像を先に知っておくだけで、ずっと楽になる
育休から復職するタイミングは、給付金・社会保険料・保育料・手取りがすべて一気に動く「お金の変化の嵐」です。
「知らなかった」で損をしないために、この記事でお金の全体像をつかんでおいてください。
手続きの具体的な手順はこちらの記事をご覧ください。
👉 【実例付き】育休復帰・時短勤務の家計を守る2つの重要手続き

「もう復職してしまった」という方でも、養育期間の特例は時効の範囲内であれば遡って申請できる可能性があります。まずは職場の担当部署に相談してみてください。早めに動くほど戻ってくる時間が長くなります。
よくある質問
- Q育休給付金は産休中ももらえますか?
- A
産休中(産前・産後休業中)は育休給付金の対象外です。
産休中は健康保険から「出産手当金(賃金の3分の2相当)」が支給されます。育休給付金は産休終了後に育休を開始してから支給されます。
- Q育休給付金の支給が遅れることはありますか?
- A
あります。
育休給付金は2ヶ月ごとにまとめて申請・支給されるため、育休開始直後はすぐに振り込まれません。育休開始から最初の入金まで2〜3ヶ月かかることもあるので、復職前の生活費の貯えは余裕を持っておくと安心です。
- Qパパが育休を取った場合も同じ制度が使えますか?
- A
基本的には同じ給付金・社会保険料免除の制度が使えます。
ただし、ママとパパが同時に育休を取っている期間や、「産後パパ育休(出生時育児休業)」の期間によって給付額の計算が変わる場合があります。夫婦で育休取得を検討する場合は、会社・社労士に事前確認することをお勧めします。
- Q時短勤務の給与はどれくらい下がりますか?
- A
会社によって計算方法が異なりますが、一般的には「所定労働時間の短縮割合に応じて給与が減額」されます。
例えばフルタイム8時間→6時間(25%減)の場合、給与も25%前後減るケースが多いです。ただし、基本給の計算方法や諸手当の扱いは会社ごとに異なるため、就業規則や会社の担当者に確認するのが確実です。
- Q保育料は途中で変わりますか?
- A
変わります。
認可保育園の保育料は、毎年4月と9月に住民税をもとに改定されます(4〜8月は前年度の住民税、9〜翌3月は当年度の住民税が基準)。復職後に収入が変わった場合でも、その影響が保育料に反映されるのは翌年以降になる場合があります。
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