「育休中、もっとやっておけばよかった…」

育休明け復職者を見てきた私が感じるのは、「職場・制度・家庭の3つを育休中に整えた人ほど、復職後がスムーズ」だということです。
この記事では、他のブログでは書かれていない「職場・制度への動き方」を中心に、育休中にやっておくべきこと10選をお伝えします。
育休中にやっておくことは「3つのカテゴリ」に分けて考える
育休中のやることを「生活準備だけ」で終わらせてしまうと、復職後に「あ、これもやっておけばよかった」という後悔が出やすくなります。
この記事では以下の3カテゴリに分けて整理しています。
- 【職場カテゴリ】 職場・上司への動き方
- 【制度・お金カテゴリ】 知らないと損する制度の事前把握
- 【家庭・生活カテゴリ】 復職後の土台を作る家庭内の準備
【職場カテゴリ】①〜③
① 復職予定を「3ヶ月前」に職場へ伝える

法律上は「育休終了の1ヶ月前」に復職の申し出をすれば問題ありません。
しかし、人事の立場から言うと、1ヶ月前では会社の体制が整わないことが多いのが実情です。
育休中の社員の業務は、多くの場合チームメンバーや派遣・パート社員でカバーされています。復職が決まれば、その代替要員の契約終了手続き、業務の再割り当て、場合によっては配属先の検討まで、人事・現場双方で調整が必要です。これらを1ヶ月でまとめるのはタイトで、職場に迷惑がかかることもあります。
理想のタイミングは復職予定日の3ヶ月前。
「〇月〇日頃を目安に復職したいと思っています」と連絡するだけでOKです。その後、具体的な勤務形態(時短の有無・勤務時間)を1〜2ヶ月前に詰めていくのがスムーズです。
伝える内容チェックリスト

人事として採用側の視点で言うと、早めに連絡をくれる復職者は『職場への配慮ができる人』という印象を持たれやすいです。育休前と変わらず信頼関係を保ちやすくなる、という側面もあります。
② 時短勤務・テレワークの制度と申請タイミングを就業規則で確認する


「復職したら時短勤務を使いたい」と思っていても、申請のタイミングを誤ると復職初日から使えないことがあります。
時短勤務の申請は、多くの会社で「復職の1ヶ月前まで」とルールが定められています。育休中に就業規則(育児介護休業規程)を確認しておき、申請タイミングを把握しておくことが大切です。
育休中に確認しておくべき制度は以下の3つです。

就業規則は普通の会社だと社員が見れる場所に格納していることがほとんどだと思いますが、見れない場合は人事に頼めば見せてもらえます。育休中でもメールで『制度の確認をしたい』と連絡すれば快く対応してくれる会社がほとんどです。復職後にバタバタして確認が後回しになる前に、育休中のゆとりある時期に動いておきましょう。
③ 「育児時短就業給付金」を知っておく(2025年4月新設)
2025年4月から、育休復帰後の時短勤務者を対象とした「育児時短就業給付金」が新設されました。競合ブログではほとんど触れられていない新制度です。
育児時短就業給付金とは
2歳未満の子を育てながら時短勤務をしている間、毎月の賃金の最大10%が給付される制度です(雇用保険から支給)。
支給の仕組み
| ケース | 支給額の計算 |
|---|---|
| 時短後の賃金が時短前の90%以下 | 時短中の賃金 × 10% |
| 時短後の賃金が時短前の90%超〜100%未満 | 時短中の賃金 × 調整後の支給率 (最大10%未満) |
| 時短後の賃金が時短前と同額以上 | 支給なし |
具体例
時短前の月収が30万円で、時短後に20万円になった場合: 20万円 × 10% = 2万円/月が給付されます。
申請方法
原則として会社(事業主)が代わりにハローワークへ申請する仕組みです。「申請してほしい」と会社の担当者に伝えることが必要なため、復職時に一言確認しておきましょう。

育休給付金(育休中)→育児時短就業給付金(復職後)という流れで、給付金が時短期間中も続く、というイメージです。2025年4月以降に復職した方は対象になります。育休中に制度を知っておくだけで、復職後の手続きをスムーズに進められます。
【制度・お金カテゴリ】④〜⑥
④ 育休給付金の終了タイミングと「手取りの変化」を先読みする
復職後の家計で驚かないために、育休中にお金の変化を時系列で把握しておくことをお勧めします。
育休中のお金の変化には以下の4段階があります。
| フェーズ | 収入の変化 |
|---|---|
| 育休開始〜6ヶ月 | 給付金67%+社会保険料免除 (手取りほぼ維持) |
| 7ヶ月目〜 | 給付金50%+社会保険料免除 (節約モードへ) |
| 復職直後1〜3ヶ月 | 時短給与+旧保険料 (最もしんどい時期) |
| 復職4ヶ月目〜(手続きあり) | 時短給与+新保険料 (月1〜2万円の改善) |
給付金の給付率は、育休開始から180日目(約6ヶ月)を境に67%→50%に下がります。育休中にこのタイミングを把握しておくと、家計の節約ペースを切り替えやすくなります。
⑤ 復職後の「2つの手続き」を事前に知っておく
復職後、時短勤務で給与が下がっているのに社会保険料が旧給与ベースで引かれ続ける「タイムラグ問題」を解消するための手続きが2つあります。
- 育児休業等終了時報酬月額変更届:復職4ヶ月目から保険料を下げる手続き
- 養育期間標準報酬月額特例:保険料を下げながら将来の年金額を守る特例
どちらも本人からの申し出が起点となる手続きです。育休中に制度を知っておき、復職当日〜1週間以内に総務・人事担当者へ申し出るのが理想のタイミングです。

人事として正直に言うと、会社がこれらの手続きを自動でやってくれるとは限りません。担当者がそもそも制度を知らなかったり、事務作業が増えるためあえて案内しない会社もあります。自分から動くことが大切です。
⑥ 保育料の仕組みと「住民税決定通知書」を手元に置く
保育料は「世帯の住民税所得割課税額」をもとに自治体が決定します。毎年6月ごろ会社や自治体から届く「住民税決定通知書」に記載されている金額が基準です。
育休中に届いた住民税決定通知書は捨てずに保管しておきましょう。自治体のホームページに保育料一覧表が掲載されているので、入園前に「自分の世帯はどの階層になるか」を事前確認しておくと安心です。
なお、保育料の切り替わりタイミングは4月と9月の年2回です。育休中(収入が少ない年)の住民税が低い場合、その翌年の保育料が比較的安くなるケースもあります。
【家庭・生活カテゴリ】⑦〜⑩
⑦ 保育園の情報収集と「慣らし保育」から復職日を逆算する

保育園準備で意外と見落とされやすいのが「慣らし保育の期間」です。
慣らし保育とは、子どもが保育園の環境に少しずつ慣れるために、最初の1〜2週間ほど短時間保育から始める期間のことです。保育園によって異なりますが、慣らし保育期間中は保護者のお迎え時間が早く、通常の勤務ができないことがほとんどです。
復職日を決める際は「慣らし保育が終わる日」から逆算して設定しましょう。
慣らし保育の目安スケジュール
| 期間 | 保育時間の目安 |
|---|---|
| 1〜3日目 | 1〜2時間 (保護者も園内で待機する場合あり) |
| 4〜7日目 | 午前中のみ (〜11時ごろ) |
| 2週目 | 給食まで (〜13時ごろ) |
| 3週目〜 | 通常保育に移行 |
保育園によって慣らし保育の期間やスケジュールは異なります。入園説明会で必ず確認し、職場への復職日の連絡に反映させましょう。

人事として言うと、慣らし保育の期間を考慮せずに復職日を設定してしまい、入社直後から短時間しか働けないという状況になる方がいます。事前に職場へ慣らし保育の期間を伝えておくと、お互いに無理のないスタートが切れます。
⑧ 夫婦の役割分担を「書いて・決めて・共有する」
育休中は「ワンオペ」でもどうにかなっていたことが、復職後は一気に回らなくなります。「なんとなく決めていた」家事分担が崩れることで、夫婦間のストレスが生まれるケースは非常に多いです。
育休中のうちに、以下のような項目を書き出して役割を決めておきましょう。
| タスク | 担当 | 頻度 |
|---|---|---|
| 保育園の送り(朝) | パパ | 毎日 |
| 保育園のお迎え(夕) | ママ(時短で早退) | 月〜金 |
| 夕食の準備 | 曜日交代 | 週5 |
| 洗濯・干す | ママ(朝セット) | 毎日 |
| 洗濯・たたむ | パパ(帰宅後) | 毎日 |
| ゴミ出し | パパ | 週2 |
| 保育園の連絡帳記入 | 交代(週単位) | 毎日 |
| 子どもの体調不良時の対応 | 都度相談 | 随時 |
ポイントは「口約束でなく書き出すこと」です。
スマートフォンの共有メモやGoogleスプレッドシートを使うと、後から見直しやすく、言った・言わないのトラブルも防げます。

一児の父として経験から言うと、子どもが生まれる前は『まあうまくやれるだろう』と思っていました。でも実際は、ルールを決めておかないと『なんで自分だけ』という気持ちが積み重なります。育休中の余裕があるうちに話し合っておくのが一番です。
⑨ 緊急時サポート網を「使える状態」で作る

保育園に通い始めると、子どもは次々に風邪や感染症をもらってきます。いわゆる「保育園の洗礼」です。
「子どもが熱を出したけど仕事を休めない」という状況は、入園後ほぼ全員が経験します。そのときのために、育休中に使えるサポートを「登録まで完了した状態」で準備しておくことが大切です。
準備しておきたいサポート3つ
1. 病児保育
子どもが発熱・体調不良でも預かってくれる施設です。多くの地域で事前登録が必要です。入園前の育休中に登録を済ませておきましょう。予約は電話のみで当日早朝に競争になることが多いため、電話番号を登録しておくことも忘れずに。
2. ファミリーサポートセンター(ファミサポ)
地域の子育て支援員が自宅や保育園への送迎・預かりをしてくれる制度です。市区町村の子育て支援センターで事前登録が必要です。依頼者・提供者のマッチングに時間がかかる場合があるため、早めの登録をお勧めします。
3. 祖父母の連絡先と依頼ルールの確認
「緊急時は頼んでいいか」を事前に確認し、双方の実家の連絡先と交通手段をまとめておきましょう。
⑩ 「育休中にしかできない体験」を1つは入れる
復職後は、平日に子どもとゆっくり過ごす時間がほとんど取れなくなります。育休中だからこそできる体験を、1つは意識的に作ってください。
特にお勧めなのが「子連れ旅行」です。復職前に一度、赤ちゃんとゆったりした旅館やホテルに泊まる経験は、親にとっても子どもにとっても特別な思い出になります。赤ちゃんが動き回るようになる前の0歳〜1歳前後は、移動も比較的しやすい時期です。

一児の父として、育休中に子連れ旅行に行っておいてよかったと心から思っています。復職後は平日に旅行できる機会がほぼなくなりますし、子どもが保育園に入ると感染症の心配で旅行のタイミングも限られてきます。育休という『まとまった時間』をぜひ使ってください。
やることまとめ:時期別チェックリスト
育休開始から復職後まで、やることを時期別にまとめました。コピーしてお使いください。
【育休開始〜3ヶ月以内】
【復職の3〜4ヶ月前】
【復職の1〜2ヶ月前】
【復職当日〜1週間以内】
【復職4ヶ月目】
まとめ:「職場・制度・家庭」の3つを整えた人が復職後にラクをする
育休中のやることを「生活準備だけ」で終わらせてしまうのが、復職後に後悔するパターンです。
この記事でお伝えしたポイントを振り返ると:
どれか1つが抜けても、復職後にしわ寄せがきます。育休中の比較的ゆとりのある時期に、少しずつ準備を進めてみてください。

人事として採用する側の立場から言うと、育休明けで復職してきた方が一番輝いて見える瞬間は、『準備してきたんだな』というのが伝わるときです。職場への連絡も、制度の手続きも、早めに動いた人ほど復職後がスムーズです。焦らず、でも育休中に少しずつ動いてみてください。
よくある質問
- Q育休中に会社に連絡するのは義務ですか?
- A
法律上は「育休終了日の1ヶ月前まで」に会社へ申し出ることが定められています(育児・介護休業法第10条など)。ただし義務の最低ラインがそこというだけで、早めに連絡するほど職場との信頼関係を維持しやすくなります。
- Q育休中に就業規則を見ることはできますか?
- A
会社は就業規則を労働者がいつでも見られる状態にする義務があります(労働基準法第106条)。育休中でも人事・総務担当者に依頼すれば確認できます。メールで「育児介護休業規程を確認したい」と連絡するのが簡単です。
- Q育児時短就業給付金は自分で申請できますか?
- A
原則は会社(事業主)がハローワークへ申請する仕組みです。ただしやむを得ない事情がある場合は本人が申請することも可能です。まずは復職時に会社の担当者へ「申請してほしい」と伝えることが第一歩です。
- Q慣らし保育期間中、親は仕事を休まないといけませんか?
- A
慣らし保育期間中は、保育時間が短いため通常勤務が難しい日が続きます。有給休暇や子の看護休暇を利用するか、テレワーク・短時間勤務と組み合わせて対応する方が多いです。職場には慣らし保育の期間をあらかじめ共有しておくとスムーズです。
- Qファミリーサポートセンターは費用がかかりますか?
- A
かかります。地域によって異なりますが、1時間あたり700円〜1,000円程度が目安です。自治体によって補助制度がある場合もあるため、お住まいの市区町村の子育て支援窓口に確認してみてください。
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